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「業者変えてやる」明石市長、再び暴言…背景に海づくり大会めぐるメディアの既得権益

文=編集部
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明石市公式サイト「ようこそ市長室へ」より

「火をつけろ」発言で炎上し、辞職。その後の市長選で当選した、明石市の泉房穂市長に再び、騒動が巻き起こっている。

 NHK NEWS WEBは19日、記事『“明石市長の発言めぐり抗議”兵庫県が発表 市長は発言否定』を公開。17日に同市で開かれた「第41回全国豊かな海づくり大会」(来年11月開催予定)のプレイベント後、泉市長がイベントを企画担当した企業の男性幹部や司会を担当した民放の女性アナウンサーに対し、高圧的な発言をしたのだという。泉市長は一部発言を否定している。

 17日のプレイベントでは式典のほか、漁船約90隻による海上パレードや、マダイやヒラメの稚魚の放流、明石タコ大使の“さかなクン”のトークショーなどが開かれた。NHKは兵庫県の発表として、以下のように報じる。

「イベントが終わったあとに実行委員会の副会長を務める明石市の泉市長が、実行委員会から受託し、イベントの企画を担当した企業の男性幹部2人に対し、『映像のできが悪い。それでもプロの仕事なのか。知事に言って業者を変えてやる』と発言した」

「イベントの司会を担当した女性アナウンサーに対し、『明石市の㏚コメントが少なすぎる。全体的に間延びしている。なぜ臨機応変につなぎのコメントを入れないのか』などと伝えた」

 一連の泉市長の発言を受け、実行委員会事務局は18日、同市に対し「進行上の課題は市の担当部や事務局に伝えるべきで、アナウンサーに対する非人道的な行為だ」などと抗議した。各社報道によると、泉市長は企業側に対する発言を否定したほか、「アナウンサーには改善のための意見を述べたが、高圧的な言い方はしていない」などと弁明しているのだという。

泉市長は元NHKディレクター

 泉市長といえば、市幹部への暴言問題で辞職した経緯がある。2017年6月14日、泉市長はJR明石駅前の国道拡幅に伴う用地買収交渉の遅れに関して、定年後に再任用された市の技術担当理事を市長室に呼びつけ、「今日、火つけてこい。今日、火つけて捕まってこい、お前、燃やしてしまえ! ふざけんな。行ってこい、燃やしてこい、今から建物。損害賠償、個人で負え!」などと発言した。

 地元紙の神戸新聞などが、一連のやり取りを収めた録音データを入手し、19年1月29日に報道。この言動は全国的に問題視され、泉市長は同年2月に辞職した。しかし、泉市長は3月に行われた市長選に突如立候補し、「暴言は到底許されない。反省している」などと訴えて当選したのだった。

 泉市長はNHKディレクターや弁護士、旧民主党の衆議院議員を経て2011年に初当選した。関西駐在の全国紙記者は憤る。

「もともと泉市長はNHKの人間。だからマスコミの内部事情に詳しいし、映像制作にこだわりがあるのでしょう。ただ、『知事に言って業者を変えてやる』は優越的地位の濫用に他ならないし、民放アナウンサーの進行にいちゃもんをつけるのはいかがなものかと思いますね」

海づくり大会・運営のマンネリ化とメディアの既得権

 一方、メディアの産業構造に詳しいライターは次のように指摘する。

「泉市長が報道にあるような発言をしたのだとしたら、大変な問題です。まったく擁護はできません。謝罪はもちろん、説明があってしかるべきでしょう。

 ただ、当該イベントが『全国豊かな海づくり大会』だったというのは少し引っかかります。

 海づくり大会と全国育樹祭は、メディア、特に地方局などにとって、数十年に一度の特別な書き入れ時だからです。税金を原資にした多額の広告費はもちろん、関連イベントの事業の運営委託費が見込めます。

 いずれも我が国の資源や林業と漁業を守るという趣旨で 、皇族の方々を含め全国から関係者が大量に出席する国家的行事なのですが……。

 基本的に主催自治体が入札を行い委託事業者が決まる仕組みを取っていますが、公共的な側面の強さから、メディア以外で手を上げる事業者がほぼいません。たとえ競合があってもメディア業界内の小さな争いに過ぎず、一般企業の苛烈な入札競争からみれば児戯に等しいものです。

 結局、メディアと広告代理店にイベンターを加えた共同企業体がパッケージで受託するというのが数十年来の慣習となっています。そのためか、運営を担当することになったメディアにあまり緊張感がない気がします。『ほかの地域と同じような感じでやればよい』という意識が蔓延しているのではないでしょうか。

 大会にはアナウンサーはもちろん、本来は営業部門から独立しているはずの報道部門の要員も動員されます。“PR”を付けず、ニュースや特集として一連の関連行事を報じることを会社命令で要請されることが多々あるのです。

 広告・事業の受託と連動した『ぜひもの』と言われる営業支援取材です。当然、現場の記者やディレクターなどのモチベーションは上がりません。そして動員されているスタッフの低い士気は、関連コンテンツやイベントの運営に如実に出てきます。漁業に興味があり、この大会をチャンスに面白いことを仕掛けようと考えるスタッフもいるかもしれませんが、稀だと思います。

 林業、漁業など両分野に精通し、やる気のあるベンチャー企業などが、もっと自由に参入できれば大会の雰囲気も変わるのではないでしょうか。

 とはいえ、繰り返しになりますが主催自治体のトップが高圧的な態度を取り、受託事業者に暴言を吐くことがあってはなりません」

 第41回全国豊かな海づくり大会兵庫県実行委員会事務局によると、17日のプレイベントは同実行委の主催。セレスポ神戸営業所、兵庫エフエム放送、毎日放送、ルートアンドアクティベーション、博報堂プロダクツでつくる『「第41回全国豊かな海づくり大会」を成功させる会』が運営業務を受託していたという。

 兵庫県の資料によると、同大会の実施計画作成支援等業務公募型プロポーザルに参加したのは3共同企業体。次点はNHKエンタープライズ、サンテレビジョン、TSP太陽大阪支店でつくる「NEP・SUN・TSP共同企業体」だった。

(文=編集部)

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