日本企業の優れた技術、世界市場席巻の無限の可能性…“もったいない現状”の脱却策
この「除菌」は、中国人の主婦、特に小さな子供がいる母親が「子供の肌を守る」上で、とても大切にしていることです。洗濯機の洗濯槽を消毒剤で定期的に殺菌したり、子供の肌着に上着の菌が移らないよう洗濯物を分けて手洗いをしたりするぐらい気をつけているのです。
この「除菌効果」があって、「生乾きの臭いを防ぐ」洗剤は、まさに中国市場でのニーズにマッチした技術であり、製品ではないでしょうか。01年以降、中国での市場動向やニーズ動向に目を向けていたとしたら、市場参入するタイミングを見出せたかもしれません。
あるいは、「トップHYGIA(ハイジア)」が国内で発売された12年あたりにも、大きなチャンスがあったかもしれません。HYGIAは、洗うたびに衣料の抗菌力が高まり、衣料に付いた菌の増殖とニオイの発生を防ぐ洗剤。日本人以上に、中国人が求めている機能なのではないでしょうか。
また、中国では数ある家事のなかでも「洗濯」は重要な家事のひとつ。家族に、キレイなパリッとした衣服を着せることは、きちんとした主婦の証しです。パリッとした衣服は、社会階層の高さを表し、家族の「面子」を立てます。また、ご近所や親戚まわりに対する、主婦自身の「面子」も立つのです。日本では、「料理」などと比べて「洗濯」への関心度は低いですが、中国では関心度が高いため、潜在的なニーズを掘り起こしやすいともいえます。
「トップ」は、日本国内では、花王の「アタック」に押されていますが、中国には日本以上の市場機会があった可能性があるのです。
受身のインバウンド需要にとどまらない
今、業績が好調な消費財メーカーの多くが、訪日外国人による購入や、帰国後のEC(電子商取引)を通しての継続的な購入という、広義でのインバウンド需要に支えられています。
しかし、見方を変えれば、好調な日本企業の多くが受身なのではないでしょうか。たとえば、中国人が自社製品を大量に購入していて驚いた、対応を急いでいる、なぜそこまで気に入られているのかわからない、などの反応にそれが表れています。また、中国人のブームが終わったら、どうなるのだろうか、増強した生産設備はどうなる?といった危惧を抱えている企業も多いでしょう。