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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

ジョギングや筋トレは体に害? 1日30分「徒歩」で寿命が延びる?

文=新見正則/医学博士、医師

散歩がお勧め

 そうすると、やはり非常識君の主張のように、運動はしないほうが実は安全なのかもしれません。ここで大切な視点は、運動やスポーツは体のためというよりも、気持ちがいいこと、つまりストレス解消の効用があることです。みんなでがんばる集団スポーツも、個人でタイムやスコアを向上させるスポーツも、また自分の筋力をアップさせる筋トレも、適切に行うと本当に気持ちがいいものです。

 そして運動が苦手な方も、ぜひ散歩は行ったほうが健康にいいと確信しています。有酸素運動はとても体にいいのです。有酸素運動とは、息を止めずに呼吸をしながら行う運動です。そして、じわーっと汗をかく程度か、そのちょっと手前までの運動であれば、万人が行って問題ないと思います。

 もちろん関節に障害がある人や、体の絶対安静が医学的に必要な人は例外です。しかし、少々体が痛くても、また医学的に適切な安静が必要でも、ずっとベッドに横になっているよりも、可能な限りの散歩は行ったほうが病気の治りもいいといえます。

 運動という言葉にとらわれると、そしてその欠点を挙げると、運動をしないほうがリスクが少ないということにもなります。しかし、適切な運動、特に有酸素運動は健康長寿のため、認知症防止のためにも有効です。

 何事にも適量があります。それを知って運動を行いましょう。お勧めの運動は、毎日30分の散歩です。これも個人差が当然あるのですが、ざっくりとこの数字を記憶しておくと有益です。やっぱり常識君の発言の範囲内で、気持ちがよく、かつ継続して行える運動を探しましょう。
(文=新見正則/医学博士、医師)

新見正則/医師、新見正則医院院長

新見正則/医師、新見正則医院院長

外科専門医 /消化器病専門医 /消化器外科専門医 /消化器内視鏡専門医
慶應義塾大学医学部卒業後、外科医として研鑽を積む。大学病院や関連病院で診療にあたるほか、英・オックスフォード大学にて博士課程を修了。
新見正則医院 公式サイト

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