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大野智「医療・健康情報のウソ」

「食品添加物は危険」というデタラメこそ危険!食中毒の恐れ、量は動物実験の数百分の1

文=大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授

 しかし、「動物実験でこんな害が出た」ということを根拠に「食品添加物は危険!」と主張する記事や書籍があとを絶ちません。繰り返しになりますが、そもそも食品に含まれる添加物の量は、動物実験で害が出なかった量の数百分の1にしかすぎません。

過剰な「ゼロリスク」信仰の罠

 では、そのような非論理的・非科学的な主張を繰り返す理由や背景には、どのようなものがあるのでしょうか。

 個人的な推測になりますが、もしかすると、その著者は厚生労働省が示す使用基準が理解できない、つまり、掛け算や割り算がわからない「無知」なのかもしれません。もしくは、読者を単に恐怖や不安に陥れようとしている「悪意」が潜んでいることも考えられます。

 ただ、「無知」「悪意」のいずれにしても、明確な根拠もなくでたらめな情報を振りかざし、リスクのみを主張する著者らには、食品添加物のリスクを論評する資質・資格はないといわざるを得ません。

 もちろん、冒頭に述べた通り、食品添加物の物質としての毒性はゼロではありません。ですが、その毒性によるリスクを可能な限り低減し、有用性を踏まえて総合的に判断して、食品添加物は利用されています。過剰なまでの「ゼロリスク」信仰は、判断を誤らせるリスクにつながりかねません。

 読者の皆さんには、ぜひリスクに対する考え方において、視野狭窄に陥らないように気をつけていただければと思います。
(文=大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授)

大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授

大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授

大阪大学大学院医学系研究科 統合医療学寄付講座 寄付講座准教授

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