危険な育毛サロンで毛が抜ける…育毛商材は落とし穴がいっぱい!【後編】
フィナステリドという薬が病院で処方可能なので、そちらを利用するのが最もベターな選択肢となります。
さて、ではこのフィナステリド。保険適用外なので自費診療になりますが、価格もそれほどぶっとんだモノでもなく、1錠当たり250~300円(病院によって違う)、1カ月当たり約1万円という感じです。
最近なんだか薄くなったかも……という状態を食い止めるには非常に心強いのですが、一旦目に見えて毛が減ってしまった場合は、やはりフッサフサに……というのは厳しいものがあります。
二つの図は、とある論文のフィナステリドの効果と満足度というものですが、やはり毛は生えるものの、満足に結びつくほどの効き目は3割に満たず、いまだ飲むだけでフッサフサに戻る薬というのは、認証薬はもちろん、未認証の薬にも存在しません。
現在、男性型脱毛症についてはっきり効果があるのは、5α還元型II型酵素によるものだけです。しかもその抑制効果も完璧ではなく、まだ完全な育毛剤が登場してるとは言えない状況なのです。
●金に糸目をつけない最終手段は自毛植毛
こうした絶望的な状況の中で、金に糸目をつけなければ最終手段もあります。それが自毛植毛です。
まだ生え残っている後頭部の毛を細胞ごと切り取り、それを生え際に植毛するというもの。自分の毛、自分の細胞であるので、免疫拒絶などは起きないため、感染症などの対策さえしっかりすれば定着率も高く、事実上の再生を可能とする数少ない物理的な解決手段なのです。費用は、だいたい1本当たり200~300円、通常は3000本移植で100万円ほどです。
これは、きちんとケアすれば数年は毛が生え続けるというもの。だいたい2~3年ごとに、追加で2000本ほど(数十万円)を足すことで、薄毛であることを悟られずに過ごすことができるというわけです。芸能人に愛用者が多いというのですが、それもうなずけますね。
人工毛の植毛という少し安いプランもあるのですが、そちらは医者の腕に左右されるところが大きい上に、定着率も低く、皮膚炎やびらんなどの悪化の報告も多く、禁止にしている国も多いことから、あまりオススメできる術式とは言えなさそうです。
ともあれ、頭皮をあまりいじめすぎない暮らしは、そのほかの身体にも良いことなので、毛髪のために生活習慣を見直してみる……というのはいかがでしょうか?
(文=へるどくたークラレ)
【尚、以下の記事は、サイエンス・ライターがつづる化学コラムです。報道の見地から行っているものであり、再現性やその内容を保証するものではありません。一切の責任は編集部及び著者は負いかねます。また薬を服用する際は、医師や薬剤師にご相談ください。】