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小薮浩二郎「食品の闇」

業界では「硬化油」の呼び名…合成油脂、市販のパンやマーガリンで広く使用の実態

文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問
業界では「硬化油」の呼び名…合成油脂、市販のパンやマーガリンで広く使用の実態の画像1「Gettyimages」より

 あなたは人工ダイヤ(合成ダイヤ)が「加工ダイヤ」「装飾用ダイヤ」と表示されていたらどうしますか?  または、単に「ダイヤ」とだけ表示されていたら? ダイヤであれば健康には影響ありませんが、このようなことが食品、それも日常かなりの量を摂取する食品で起きているとしたら大問題です。

合成油脂とは?

 現在の食品関係法令では、合成油脂という言葉は使われていません。実はこのこと自体が問題なのです。合成油脂は天然の油脂を原料として合成化学反応を行い、人工的に製造した物質ですから合成化学物質です。合成油脂は法令上(日本農林規格、平・25年平成改正)は「食用精製加工油脂」となっており小麦粉、砂糖、サラダ油、バター、豚肉などと同じように食品そのものとして扱われています。

 私は「合成添加物」に分類すべきだと考えています。合成油脂は食品の包装に「食用油脂」「加工油脂」「加工油」「加工脂」「精製加工油脂」などと記載されています。これらの表示を見て合成油脂だとわかる人は、どのくらいいるでしょうか。

 加工デンプンは天然のデンプンを原料とし合成化学反応を行い、人工的に製造したものですが、長い間、添加物ではなく食品として扱われていました。現在では加工デンプンは法令上、添加物として扱われています。合成油脂は早急に厳格な安全性試験を行い、安全であれば添加物に指定すべきです。

 加工デンプン以外でも、天然の物質を原料として合成化学反応を行って製造されている物質には次のようなものがあります。

(1)アスパルテーム……天然型アミノ酸であるアスパラギン酸とフェニルアラニンを原料として、さまざまな化学薬品を加え合成化学的反応により製造。よく使用されている合成甘味料です。食品には甘味料(アスパルテーム、Lフェニルアラニン化合物)と表示されています。

(2)ショ糖脂肪酸エステル……砂糖(ショ糖ともいいます)にいろいろな化学薬品を加えて、合成化学的反応を行い製造。食品には単に「乳化剤」とだけ表示されています。

(1)(2)は指定添加物となっていますが、なぜ合成油脂は添加物になっていないのでしょうか。このような油脂を「精製加工油脂」と称すれば、一般消費者は「精製」された非常に上等な油脂と勘違いしてしまいます。「合成食用油脂」と称すべきです。業界では「硬化油」「水添油脂」などと呼ばれていますが、これらの名前が食品に表示されることはありません。

 合成油脂は、主にショートニング、マーガリン、ファットスプレッドなどの材料として使用されており、市販されているパンや、パンに塗る油脂に含まれています。

 次回は合成油脂がなぜ危険なのかについて、具体的にお話ししましょう。
(文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問)

小薮浩二郎/食品メーカー顧問

小薮浩二郎/食品メーカー顧問

1945年、岡山県生まれ。九州大大学院農芸化学専攻(栄養化学講座)修了。製薬会社の研究部門ほか、添加物開発の最前線で添加物研究に従事する。研究歴40年以上で、第一人者。現在は、食品会社の顧問、食品販売会社特別顧問(品質管理)に携わる。著書に「悲しき国産食品」「食品業界は今日も、やりたい放題」「食品選び・おとなの知恵 ちょっと高くても、コッチ!」など。

Twitter:@eQuqANeNct8MdU5

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