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「東急池上線は“ブランド路線”といわれる東急線のなかでもっとも影が薄く、沿線開発の優先度が低かった。そのため、大規模なテコ入れが行われずにいました。一方、東急東横線のような人気路線では郊外の武蔵小杉駅にまで開発の手が及んでいて、いわば手詰まりの状態です。そこで、今まで何もしてこなかった池上線に白羽の矢が立ったと考えられます」(同)
さらに、渋谷駅再開発のために“実験の場”として五反田を利用している可能性もあるという。「池上線五反田高架下」に出店したテナントの売り上げや反響を見て、「渋谷に生かすヒントを探っているのかもしれない」と鳴海氏は分析する。
確かに、醸造所が併設されたビールバーの「RIO BREWING & CO.東京醸造所」やシャワーブース併設の室内駐輪場など、「池上線五反田高架下」には個性的なテナントが軒を連ねる。まさに“実験の場”といった印象だ。
いずれにせよ、今の五反田が訪れる価値のある街であることは事実だろう。
「実際に五反田に行っても、パッと見は大きな変化はありません。ただ、駅周辺を少し歩くと、ママチャリの横に高価なロードバイクが停めてある駐輪場があったり、池上線高架下のようなスポットの近くにファミレスや昔ながらの立ち食いそば屋があったりと、混沌とした魅力があります」(同)
オシャレな「池上線五反田高架下」の向かいにラブホテルがあるのも五反田ならでは?
鳴海氏は、「そうした街並みに目を向けると、今しか感じられない五反田を体感できるかもしれません」と話す。猥雑で怪しげな街に起きている、大きな変化。それを目にするのは、街が“生き物”であることを実感できる、またとない機会なのかもしれない。
(文=真島加代/清談社)
●取材協力/鳴海行人(なるみ・こうじ)
神奈川県生まれ。学生時代に地方私鉄とまちのつながりや駅の空間を中心に研究活動を行う。大学卒業後は交通事業者やコンサルタントの勤務等を経てフリーに。2017年から「まちコトメディア」の「matinote」でライター兼編集長を務めるほか、「まち」や「交通とIT」などをキーワードにさまざまな媒体で活動を行う。最新情報はホームページで配信中。
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