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2023.06.26 18:30
2019.06.17 20:00
榎本博明「人と社会の役に立つ心理学」
叱らない教育、弊害が顕在化…日本企業、心の弱い日本人よりタフな外国人を優先採用の傾向
私の恩師たちがアメリカの研究者と行った日米比較研究でも、子どもが言うことを聞かないとき、アメリカでは親の権威に訴えて言うことを聞かせる、理由はわからなくてもとにかく親の言うとおりにさせようとするという母親が50%と圧倒的に多かったが、日本では、そのような母親はわずか18%だった。
日本で最も多いのは、言うことを聞くことにどのような意味があるかを理解させようとする母親で37%だった。アメリカでは、そのような母親は23%と、権威に訴える母親の半分以下だった。
この「やさしさ過剰社会」はどこまでいくのだろうか?
いずれにしても、企業としては、このように育てられたレジリエンスの低い若者を、ほめたりおだてたりしてうまく使いこなさないといけないわけだから仕方ないにしても、これから育てる側の教育現場もそれでよいのだろうか。
叱ると傷つくからといって叱らない。厳しいことを言うと傷つくからといって、とにかくほめることに徹する。自由度が高い幼稚園から授業時間など枠に縛られる小学校への移行がうまく行かない子が増えてきたといって、小学校の壁を低くしようと工夫する。小学校から中学校への移行の際に友だちが変わり戸惑う子が多いからといって、小中学校の連結を工夫しようとする。
このようにますます過保護になっていき、その動きに歯止めがかからない。これでどうして心が鍛えられ、変化に強い人間が育っていくのだろうか。
レジリエンスを鍛えられずに育てられる多くの若者たちは、この先どうなっていくのだろうか。現に、日本の若者はすぐに心が折れるから、ハングリーで心がタフな外国人を雇う方向にシフトしているといった話を経営者から聞くことが多くなった。
今ここで、子育てや子どもの教育のあり方をしっかりと考え直す必要があるのではないだろうか。
(文=榎本博明/MP人間科学研究所代表、心理学博士)
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