叱らない教育、弊害が顕在化…日本企業、心の弱い日本人よりタフな外国人を優先採用の傾向
そうして育った若者たちが傷つきやすく、厳しいことを言われるとへこんだり反発し、休んだり辞めてしまったりするために、企業でも「ほめて育てる」に徹し、やさしい言葉づかいで対応しようといった試みも始まっている。
企業としても、心が鍛えられず、傷つきやすい若者が目の前にいるわけだから、対症療法としてほめたりおだてたりせざるを得ないわけだが、はたしてこれでよいのだろうか。
欧米追随ばかりの日本だが、なぜかここだけは決して真似をしない
教育もグローバル化の時代に対応が必要だといわれるが、なぜ心を鍛える方向にだけは行かないのか。多くの国々では、子どもや若者はものすごい厳しさの中を潜り抜けて大人になっていく。
たとえば、わかりやすいのが留年だ。欧米諸国では、小学生ですら留年は当たり前であり、小学校低学年でさえ、学力がその学年にふさわしくなければ留年させられる。なんでも欧米の追随をしたがる日本だが、小学生どころか、中学生でも滅多なことでは留年などさせることはない。みんなと学年が違ってしまうと子どもが傷つくからだ。
留年しないように力をつければよいという方向には行かずに、留年させるのはかわいそうだから学力は足りないけど学年は上げるという方向に行く。
規則を守らせるということに関しても、日本は異常なほどに甘い。自由や権利は責任や義務と一体であり、自由や権利を行使するからには一人前に自立していなければならない、逆にまだ一人前でないなら自由や権利は行使できないというのが欧米式だ。
ところが、今の日本では、子どもや若者を一人前に鍛え上げる前に、自由や権利を平気で行使させようとする。
フランスの親は、子どもに厳しいのが自慢で、子どもに欲求不満を与えるダメージを心配するどころか、子どもの頃にフラストレーションに耐えることが大事だと考えている(ドラッカーマン『フランスの子どもは夜泣きをしない』)。それに対して、日本の親の大半は子どもの自由を尊重し、ものわかりの良い親でありたいという。
親が子どもにどのようなことを期待するかを調べた国際調査を見ても、「親の言うことを素直に聞く」ことを子どもに強く期待するという親は、フランスでは80.1%、アメリカでは75.2%であるのに対して、日本ではわずか29.6%しかいない。