1939年にアメリカで誕生し、1975年に日本へ初進出したコンビニチェーンのローソン。4月末時点の国内店舗数がセブン-イレブンの2万1318店舗、ファミリーマートの1万6563店舗に続く1万4663店舗と、コンビニ業界で店舗数第3位となっている。新型コロナウイルスの影響により、客数は3月が前年同月比で97.5%、4月が98.2%と減少傾向にあるが、月次売上高は3月が103.3%、4月が103.5%と安定しているようだ。
そんなローソンはこの春も多種多様な商品を発売している。しかし興味をそそられる美味しそうな商品がある一方で、“これは微妙かも……”と感じる残念な商品もいくつかあった。そこで今回は“この春、買うのは要注意(?)なローソン商品”を5つ選出し、紹介していく。
ポークたまごバーガー/376円(税込、以下同)
沖縄への出店25周年を記念して5月10日より開催されている「沖縄フェア」。本フェアでは沖縄ゆかりのメニューが数多く発売されており、「ポークたまごバーガー」もそのひとつ。
本品は厚みのある卵焼きとポークランチョンに、沖縄の油みそである「あぐー豚入りあんだんすー」とマヨネーズ、唐辛子で味付けしたバーガーであり、食べ応えがありそうな見た目をしている。
しかし、SNS上の反応を見ると、「卵の風味が強すぎてソースが味わいにくい」「ポーク自体の塩気が抜けていて、ソースの味もほとんどしない」というやや厳しめのコメントが寄せられていた。実際に食べてみると、たしかに卵の匂いが強めであり、ポークランチョンの味が隠れているように感じる。またソースは味噌の風味と酸味があるマヨネーズのまろやかさの相性は良かったものの、唐辛子のスパイシー感は薄めであり、全体的にパンチに欠ける仕上がりであった。
これがチキン南蛮弁当/599円
2021年3月23日に既存の常温弁当をチルド化した「これが弁当」シリーズを発売。公式サイトによると、弁当をチルド化することにより、素材本来の美味しさを楽しめるように鮮度管理できたり、使用できる食材が増えたりするとのことだ。そんなシリーズのひとつである「これがチキン南蛮弁当」は、従来の「チキン南蛮弁当」の南蛮たれをより酸味のある味わいにグレードアップさせたという。
しかし、SNS上では「以前のほうが美味しかった」「お肉の種類が変わっている?」といった従来のチキン南蛮弁当ファンから本品に対する疑問の声が目立った。そこで実食してみると、チキンはコリコリとした歯ごたえのある身質ではなく、一部ゼラチン質になっており、肉本来の食感を楽しめなかった。また、衣がべちゃべちゃしており、油っぽさが増していたので、食後に胃もたれする人がいてもおかしくはないだろう。
とはいえ、チキンに絡められている南蛮たれは酸味と甘みが程よいバランスで調えられており美味。卵がゴロゴロ入った濃厚な味わいのタルタルソースとの相性も良いため、その点は評価したい。
大盛 ぶっかけそば/462円
これからの暑くなる季節、冷たくさっぱりとした食べ物が好まれるだろう。「大盛 ぶっかけそば」は、ひんやりとしためんつゆと、すすりやすく改善されたそばが特徴の商品だという。たしかに、暑さで食欲がないときでも食べやすそうなのだが、少々残念に感じるところがあった。
まず、つゆをかけて混ぜ合わせるときにそばがブチブチと切れやすく、食べる前からそばの食感に不安を感じてしまった。実食してみても、そばの魅力であるしっかりとしたコシは味わえず、チルド麺らしいボソボソとした食感。また、そばに対するめんつゆの量が少なかったため、そばとつゆが上手く絡まないまますすることが多いのだ。
そして、コストパフォーマンスの悪さも本品の残念なポイントのひとつだ。本品の価格は462円と決してコンビニ商品のなかで安くはなく、しかもそば、天かす、小ねぎしか具材がないのは少々寂しい気がする。同じ価格帯でとろろと温泉卵が入った「月見とろろそば」(497円)や、野菜や魚介がたっぷり入った「1/2日分の野菜が摂れる焼ビーフン」(462円)があるので、本品はボリューム的にも満足度的にもやや低めといった印象だ。
トロぶた角煮/399円
ご飯のおかずやお酒のつまみにもなる豚の角煮は、多くの人が好きな肉料理のひとつだろう。最近ではコンビニでクオリティの高い角煮の商品を見ることもあるが、ローソンオリジナルのチルド商品である「トロぶた角煮」は、購入前に充分に検討が必要な商品だ。
500Wの電子レンジで1分20秒温め皿に移すと、げんこつほどの大きさの角煮が姿を現した。公式サイトでは「箸でほどけて口でとろける柔らかな豚の角煮」と説明されており、本当に箸でほぐすだけで身が崩れた。
けれど、このボリュームと柔らかさに期待が高まるものの、味付けは塩気があまり感じられず、甘味がかなり強いのでややくどめ。さらに、身は弱めの力で噛むだけで肉の繊維が崩れる柔らかさだが、脂身の部分がゼラチン化してネチョネチョする食感なので肉感は薄め。肉自体の柔らかさは文句なしのレベルだったのだが、味や食感が今ひとつ……といったクオリティなのだ。価格も399円とチルド商品にしては高めのため、クオリティの面も考慮するとリピートはしにくいのではないだろうか。
紅鮭だし巻わっぱ風弁当/538円
「紅鮭だし巻わっぱ風弁当」は直火でふっくらと焼き上げた大きな紅鮭が目をひく弁当。その他にも唐揚げやきんぴらごぼう、だし巻玉子、たくわん、ご飯の上に敷かれた海苔など具沢山な内容で心高ぶる消費者も多いだろう。だが本品は見た目こそ良いものの、各々の具材を見ていくと少し微妙だと言わざるを得ない……。
まず商品名にもある紅鮭は、ほんのり塩気がありご飯の進む味わいであったが、ところどころ小骨があるので注意しなければならない。だし巻玉子は甘味、塩気をほとんど感じない出来であり、唐揚げも肉ではなく衣の部分が多めな食感。主力のおかずが食べるのに手間のかかるもの、良さを活かしきれていないものばかりのため、全体的な評価は良いとはいえないだろう。
だが、先に挙げたひとつひとつの改善点を工夫すれば、さらなるクオリティの向上が期待できそうである。商品のコンセプトは魅力的なので、これからの商品開発に期待したい。
ローソンはコンビニ商品とは思えないクオリティの高い商品を発売しているが、食感や細かい味の質により、残念ながら微妙と評価せざるを得ないものもある。とはいえ、本記事の評価は一つの意見にすぎないので、気になった方はお近くのローソンまで足を運んでいただきたい。
(取材・文=文月/A4studio)
※情報はすべて5月12日時点のものです。