そこで、auは新料金プランの提供に合わせて、新しい端末購入支援プログラム「アップグレードプログラムEX」を用意している。これは48カ月の分割払いで端末を購入し、毎月390円を支払う必要があるが、その代わり24カ月後に端末を買い替えた場合、端末の残債が無料になるというもの。
新料金プランとアップグレードプログラムEXの組み合わせによって、ユーザーの負担をなるべく少なくしながら、従来と大きく変わらないスタイルで端末の買い替えができる仕組みを構築したわけだ。
ただし、新料金プランはもっとも人気の高いiPhoneを購入する際には加入することができず、対象となるのはAndroidスマートフォンのみとなっている。iPhoneへの対応は現在協議中とのことで、まだ時間がかかるようだ。
しかし、それでも新料金プランの効果は大きかったようで、KDDIが8月1日に実施した決算説明会では、新料金プランの受付開始から半月で契約数が45万を突破したことが明らかになった。しかも、端末を購入した人のうち83%が新料金プランを選んでおり、割賦契約した人の84%がアップグレードプログラムEXを申し込んだという。
さらに、KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、新料金プランの影響として2つの要素を挙げている。ひとつは新規・機種変更時にAndroid端末を選ぶ人が約5割増しになったこと。
もうひとつは、番号ポータビリティ(MNP)による新規加入者が2倍になったことだ。新料金プランは開始して間もなく未知数な部分も多いが、短期間で大きな成果を上げていることは確かなようだ。
低価格戦略で出遅れ、会員流出が深刻だったau
今回のauの新料金プランは、仕組み的に見ればdocomo withに近い部分があるものの、段階制の料金を採用したり、対象端末を絞るのではなく大半の端末を対象にしたりするなど、かなり思い切った施策である。NTTドコモより大胆な料金改変に踏み切ったKDDIだが、auにはそこまでしなければならない事情もあったようだ。
先の決算発表で公表された数字を見ると、auのほか、「UQ mobile」などKDDI傘下の仮想移動体通信事業者(MVNO)を含む「モバイルID数」は、前年同期比29万増の2603万契約となっている。
しかし、その内訳を見ると、MVNOの契約数が107万と前年同期比約7倍と大きく伸びる一方、auの契約者数は62万人減の2496万人となるなど、高収益が見込めるauの契約者数の減少が加速しているのだ。
その主因は、MVNOやソフトバンクのワイモバイルなど格安サービスに利用者が流出していることにある。大手から格安に会員流出が続くというのは、大手3キャリアに共通する最近の傾向ではあるが、なかでもKDDIはauの会員減少が業績に大きな影響を与えやすくなっているのだ