内閣府の有識者会議「暮らしの質」向上検討会は5月25日、温水洗浄便座や少量の水で流すことができる節水型便器など、日本が生んだ高機能トイレの世界への普及を目指すべきだとする提言をまとめた。成長戦略に盛り込まれた「ジャパン・トイレ・チャレンジ」である。
提言は女性が暮らしやすい環境づくりを目的に取りまとめたものだが、日本の高機能トイレは訪日外国人がお土産に買い求めるなど人気が高く、その快適さは“おもてなし文化”としても評価されつつあることに着目した。
快適なトイレ空間づくりを進めることで女性の暮らしの質が高まるとして、公共施設で高機能トイレを整備する必要性を指摘。多くの外国人が来日する2020年の東京五輪・パラリンピック開催時に、日本の主要空港に高機能トイレを設置し、日本のイメージの向上につなげたい考えだ。
政府開発援助(ODA)を通じ途上国でのトイレ整備を進めるほか、防災トイレの機能を強化し、情報通信技術を活用したトイレマップの作成や災害時のトイレの確保を盛り込んだ施設利用計画を策定する。日本製高機能トイレの輸出を増やすことを目指す。有村大臣は優れたトイレを表彰する「日本トイレ大賞」を創設。自治体や民間企業などから事例を募集し、今年9月に表彰する。
成田空港も注力
安倍晋三首相は6月11日の産業競争力会議で、「(6月7~8日にサミットが開催された)独エルマウの首脳の部屋のトイレは日本のウォシュレットだった」と振り返った。安倍首相がこれをあえて話題にしたのは、成長戦略に盛り込まれる「わが国が先進モデルとなって進めていくミクロベースの代表例」のひとつにするためだ。
トイレ・バス設備などを扱う大手住宅総合機器メーカーTOTOは、自社ホームページ上でサミットが開催された「ホテル・シュロス・エルマウ」で欧州向けの最上級モデル「NEOREST」が使われていることを公表した。
TOTOは今年4月、成田国際空港第2旅客ターミナルに体感型トイレ、ギャラリーTOTOをオープンした。日本のトイレ文化を発信するためだ。訪日外国人が初めて降り立つのは空港だ。そこで、最初に接するのがトイレだ。日本に好感をもってもらうには、トイレの第一印象が大切になる。