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なお、明治期には大嘗祭は東京の吹上御所で行われていたが、大正期に入ると国事行為であるとして、京都にある旧仙洞御所の御苑が用いられるようになる。昭和期においてもそれは受け継がれているが、平成期においては再び東京の皇居において行われるなど、やはりその都度、時代の要請に基づいて変化が加えられている。大嘗祭の歴史を概観するに、何を伝統とし、本来のかたちとするかについては、議論の難しいところではないだろうか。
ゆえに、今回の大嘗祭における大嘗宮の簡素化であるとか、あるいは神饌とされるべく届けられた各地の特産物を食品ロス抑制の観点から再利用することなど、このようなマイナーチェンジはむしろ、裏を返せば常に変化し続けるという大嘗祭の一種の「伝統」に則ったかたちであるといえよう。
また、それは神代に源流があるとされる、国家安寧・五穀豊穣を祈る祭祀であるという大嘗祭の本質的な部分を損なうものではあるまい。今年は天災が多く、日本の各地で深刻な被害が見られた。今も苦しむ被災地の人々に思いを致しながら、この時代に生まれ合わせた者の1人として、この祭祀を静かに見守りたい。
(文=井戸恵午/ライター)
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