青木さんの言う「適性評価」とは、情報を管理する者が「情報を漏らす恐れがない」かどうかを調査することである。行政機関の職員や業務を委託された業者が評価の対象になる。調査内容は、犯罪および懲戒、情報の取り扱いで法に背いたことがあるか、薬物の濫用とその影響、精神疾患、飲酒の節度、信用状態、その他の経済状況など多岐にわたり、本人の父母、子ども、兄弟姉妹、配偶者の父母、子、さらにその家の同居者なども評価される。
このように広汎な調査でプライバシー侵害が起きるため、青木さんは障害を持つ子などの情報も暴かれていくことを心配しているわけだ。さらに青木さんが続ける。
「この法律が施行されれば、時の権力者に都合よく利用されることは明らかです。これは決して誇大妄想でもなければ拡張解釈でもありません。現に、東日本大震災直後には重要な原発関連情報が公開されなかったこと、いまだに多くの人びとが避難生活を強いられているにもかかわらず、明確な根拠もなく世界最高だという新規制基準を盾に原発再稼働へと進む政府の姿勢を見れば、本件法律の行く末も明白でしょう」
ともかく12月10日、稀代の悪法・秘密保護法は施行された。
(文=林克明/フリージャーナリスト)
●施行後も全国で活発な廃止運動
全国的に秘密保護法廃止の運動は広がっている。そのなかでも重要と思われる、同法の違憲確認を求める静岡・東京・横浜の裁判関係の日程は次のとおり。
・12月24日 11:30静岡地方裁判所201号法廷で静岡訴訟の第3回(最終)弁護予定。※この日の最終弁論については、原告・藤森克美弁護士のホームページで事前にご確認いただきたい。
・2015年1月15日 15:30東京地方裁判所103号法廷で東京訴訟の第4回口頭弁論。
・2015年2月2日 16:00横浜地方裁判所502号法廷で横浜訴訟の第2回口頭弁論