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江川紹子の「事件ウオッチ」第27回

「戦争法案」批判を安倍首相が封印?いまだ非公開の反軍演説と軽視される議会発言の自由

文=江川紹子/ジャーナリスト
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 ところが、福島氏のブログによれば、「議事録の正式な掲載は、理事会での全会一致が原則ですから、今回のように自民党が反対したりすれば、議事録が永遠に公表されないまま葬り去られるという危険すらあります」という。

 長妻氏が、「反軍演説」が今なお封印されていることに注目しているのは、政府与党が公にしたくない発言を、いったん非公開にすれば、それを半永久的に歴史から排除しかねない事態になるからだろう。

 実は、福島氏はこの前にも、今年2月3日の参議院予算委員会、3月4日の参議院憲法審査会でも「戦争法案」との表現を使っている。だが、その時は何も問題にされず、もちろん議事録として正式にアップされた。今回は、その呼称に対して安倍首相が「戦争法案というのは、甘受できない」と激しく反発したことから、自民党が強硬な対応に踏み切った、と思われる。

 これが、安倍首相の直接の指示に基づくものかどうかはわからない。指示があったとしても、それをいさめる良識と力量をもった者が、自民党内にはいないのか。だとすれば、これはゆゆしき事態といえよう。もし、安倍氏の指示がないのに、こういう対応をしたとしたら、トップの意向を忖度して過剰な反応をしたことになり、組織としてはさらに問題だろう。

 今こそ、過去の歴史に学んで、国会とはいかなる場なのかを、もう一度考えてみてほしい。そのためにも、戦前の非公開議事録の公開は、ぜひやってもらいたい。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

【註】
本稿を出稿後、参院予算委員会の岸宏一委員長(自民党)が、福島氏の発言を残したまま、議事録を公開することを決めた、と報じられた。

【追補】
かなり時間がかかったとはいえ、議事録がこうした判断に至ったのはよかったが、自民党には相当に反省をしてもらいたい。こうした事態を二度と起こしてもらっては困る。そのためにも、戦前の非公開議事録からは、大いに学ぶことがあるのではないか。

江川紹子/ジャーナリスト

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


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