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ツタヤ図書館騒動で話題の公共施設民間委託、デタラメな実態!もはやメリットなし?

文=日向咲嗣/ジャーナリスト

 指定管理者制度は、民間の事業者が切磋琢磨して競い合うことで、より低い費用でより質の高いサービスが実現できるというふれこみだが、応募が1社しかなければ競争原理など働くはずもなく、随意契約となんら変わらない。

 つまり、区民には「民間委託すれば、いいことだらけ」と説明しておきながら、費用が安くなっているわけではなく、たくさん競合している選択肢の中から特別優れた事業者を選抜しているわけでもないという実態が、この経過から白日の下にさらされたのである。

地元事業者には、「ゲタ」を履かせる

 では、どうして競合他社は応募しないのか。そのカギを握るのが、足立区独自の採点方式にある。

 下の図を見てほしい。これは一昨年実施された足立区立のあるスポーツ施設における指定管理者選考の採点結果である。「安定性・信頼度」が100点満点の大手業者E社と、60点の地元企業のY社。また、「スタッフの数・人材・内訳」等では、E社の圧勝。だが、Y社は「足立区内に本店・支店機能」があるとして42点加点されたうえ、足立区の独自制度である「ワークライフバランス認定企業」でも18点加点。この2つの項目だけで60点もY社がゲタを履かせてもらっている。

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 両社の最終的な総合点の差が53点であることからすれば、もしこれら地元企業優先採点がなければ、Y社はE社に負けていたのだ。

 2015年度からは、地元企業優先加点の採点方式は少し緩和されたものの、それでもまだ地元優先の基本は変わらないため、こうした情報を詳細に検討する大手事業者は、落札できる可能性の低いところに応募する無駄な労力はかけないのだろう。

図書館分離なら大手の圧勝

 また、昨年1施設で区外の大手業者B社、C社と区内業者Y社が競合したが、その選考過程をつぶさにみていくと、少なくとも図書館に関しては、受託したY社が指定管理者として一番ふさわしいとは到底言い難いことが判明した。

 経営の安定性では、B社、C社が共に満点だったのに対して、Y社は半分以下。一次審査ではB社より高得点だったものの、C社には大差をつけられている。二次審査のプレゼンテーションにおいても、「図書館の取り組み方針」や、実績をみる「図書館事業」の採点では、Y社はB社に大きく水をあけられている。

 ところが、一次の「足立区内に本店・支店機能」と「ワークライフバランス認定企業」の区内優先採点のほか、二次のプレゼンでは地域学習センター事業の実績で加点され、結局Y社の勝利に終わったのである。

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