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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

飲酒で顔赤くなる人、毎日飲むと「がん発生率」急増…赤くならない人も危険、どうすべき?

文=新見正則/医学博士、医師
飲酒で顔赤くなる人、毎日飲むと「がん発生率」急増…赤くならない人も危険、どうすべき?の画像1「Thinkstock」より

 今回は、アルコールがんの話で盛り上がっています。2月に松尾恵太郎・愛知県がんセンター研究所遺伝子医療研究部部長らが発表した、酒を飲んで顔が赤くなる人が大量飲酒を続けると80歳までに20%の人が食道や喉のがんになるという件についてです。同研究所が正式に発表した報告なので、信憑性がありますね。

 この報告において「大量飲酒」とは、アルコールの量が1日量で46グラム以上となっています。1合は180ミリリットルですから、約13%のアルコール度の日本酒で換算すると、ちょうど2合になります。ビールはアルコール度数約5%なので、約1リットルになります。顔が赤くなる人が、毎日日本酒2合またはビール1リットルを週5日以上飲み続けると20%の人が80歳までにがんになるそうです。

 しかし、アルコールが23~46グラムで週5日以上では、20%が約5%に激減します。また、顔が赤くならない人が大量飲酒(46グラム以上を週5日以上)しても80歳までに食道や喉にがんができる確率は3%だそうです。

 この発表を受け、“非常識君”は「僕は顔が赤くならないから、いくら飲んでもたった3%しか食道や喉のがんにはならないのか。顔が赤くなる人の7分の1の確率だから、がんがんアルコールを飲む」と主張しています。“極論君”は「僕は顔が赤くなるから、今日からアルコール量が45.9グラム以下となるようにしっかりと計算して飲む。46グラム以上で20%、それ未満では5%だから超意味がある行為だ」と自慢しています。“常識君”は、「各人がほどほどの量のお酒をたしなめばいいんじゃないの」といつものように大人のコメントです。

 おもしろいですね。アルコール度数の高いお酒を飲む習慣がある地域には食道がんが多い、といったことを筆者は医学生の頃に習いました。しかし、今回の研究は直接に粘膜をアルコールが刺激してがんが発生するというストーリーではなく、体に吸収されたアルコールが食道や喉のがんを引き起こしているということだそうです。だからこそ、アルコールを代謝できる人、つまり顔が赤くならない人はアルコールの害が少なく、アルコールを代謝できない人、つまり顔が赤くなる人は1日量46グラムを超えるとがんの発生率が急激に上昇します。ともかく、顔が赤くなる人は要注意というメッセージですね。

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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