
入学時の難易度が低く世間での認知度も低い、従って受験生からも敬遠されがちな、いわゆるマイナーな私立大学のホームページを閲覧すると、しばしば見かけるものがある。公益財団法人日本高等教育評価機構(JIHEE)のマークだ。その名が示す通り、大学の評価を行う専門機関であり、大学側としてはそのお墨付きを誇示したいのだろう。
JIHEEのように、大学の認証評価を実施する機関が設立されたのは平成16(2004)年度から、すべての大学(短大、高専も含む)は7年以内ごとに文部科学大臣が認証する機関によって評価されることを義務付けられたためだ。この背景には、03年に立志舘大学、04年に東北文化学園大学(いずれも当時)が募集停止、運営破たんに陥り、大学の危機が顕在化したことがある。
現在、認証機関にはJIHEEと大学基準協会があり、前者は主に多くの私立大学、後者は同じく国公立大学及び有力な私立大学の評価を行っている。いわば棲み分けが行われているために、特にマイナーな私大でJIHEEの名前を見かけることが多いのだろう。
認証評価の基準についてはJIHEEのウェブサイトに明示されている。大学としての使命・目的、学修と教授、経営・管理と財政、自己点検・評価の4つに分かれ、合わせて22の項目で評価が行われていることがわかる。基本的なスケジュールを見ても実査から評価までほぼ半年の期間を要するのであるから、相当に大がかりなものであろう。
だが、どこか違和感を覚える。解がないというべきか、基準に対する具体的な評価方法が記されていないからだ。あるいはその曖昧さがもたらしているのか、JIHEEによる大学の評価は甘い、との指摘は大学関係者から聞かれる。
実際、過去5年の評価結果を見ても、大学として相応しいとされる適合判定の253校に対して、不合格の不適合判定はわずか2校に留まっている。また適合判定のなかには、評価後ほどなく4年生大学の募集停止を決めたプール学院大学と東京女学館大学も含まれている。
明確な基準なし
認証評価の疑問点、不明点について同機構の担当者に取材を申し込んだが日時が折り合わず、質問状を送付して以下の回答を得た。
Q:認証の基準は適合不適合の判定にどう反映されるのか。明確な基準は存在するのか。
A:保留や不適合の判定については個別大学ごとに大学全体の状況を踏まえて判定委員会で審議し、決定しているので何項目満たさなければ不適合という線引きはしていない。