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浜田和幸「日本人のサバイバルのために」

空気だけで走る車、普及本格化で日本自動車メーカーの脅威に…空気から水生成も普及

文=浜田和幸/国際政治経済学者

 ウォーターボックス自体はプラスチック製の長方形の箱で、真中に穴が開けられている。その穴に木を植えるのだが、箱の中には土が詰められている。この発明品の特徴は夜間、水蒸気を吸収し箱の中にためておくことができること。もちろん、雨が降れば、その水をためておき、必要な水分を埋め込まれた木に与えることができる。しかも、強い太陽光線や風、あるいは雑草、害虫などから樹木の根を完全に保護してくれる。1年間そうしたウォーターボックスの中で育てられた苗木は、その後ウォーターボックスを取り除かれた後も自力で逞しく成長できるようになる。

 サハラ砂漠での実験では、2つのグループに分かれて、この技術の有効性が試された。ひとつのグループはこのウォーターボックスを利用し、もうひとつのグループは自然のままに放置され、毎日人が水を与えるという条件に置かれた。その結果、3カ月ほど経った時点で2つのグループの成育状況を比べたところ、ウォーターボックスに植えられた木は90%ほどが順調に育ち、緑の葉を増やしていた。極めて強い太陽の下に置かれていたにもかかわらず、すくすくと育っていたのである。

 もうひとつのグループは毎日水を与えたにもかかわらず、残念ながら90%以上が枯れ果ててしまった。発明者のホッフ氏に言わせると「このウォーターボックスを使えば、そして植えるべき樹木の種類を選べば、地球上の砂漠を緑地に変え農地に生まれ変わらせることも可能になるだろう」とのこと。中東やアフリカ、インドなど厳しい自然環境の土地にはこのウォーターボックスが強い味方になりそうだ。

 実際、12年にはスペイン、オマーン、エチオピアをはじめ南米チリなどでも効果が確認されている。日本では鳥取砂丘という環境を活かし、鳥取大学の乾燥地研究センターが同様の実証研究で成果を上げ、海外への技術移転にも積極的に取り組んでいる最中である。アフリカや中近東の砂漠地帯を中心に日本からの技術を生かした砂漠の緑化と農業生産が試みられている。

 しかも強気のホッフ氏は「このウォーターボックスを使い、20億ヘクタールの森林を育てることができれば、現在人類が放出している二酸化炭素(CO2)を全て吸収することも可能になる」とまで豪語する。地球温暖化対策にも役立つというわけだ。「人類が過去2000年の間に伐採してしまった森林を自然の力を利用して取り戻すことが夢だ」と熱く語る。

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