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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

牛白血病が急増…食肉用牛豚の有病率の高さが報じられない理由

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

偽物“熟成肉”が氾濫

 今回、特に反響が大きいのは、食肉のことです。本書の本文にも書きましたが、巷では「肉ブーム」とでも呼ぶべき現象が多々見受けられます。安い肉を大量に食べられることから、肉がメインの飲食店が人気を得て、店舗数も増えました。看板に「熟成肉」を謳っている店もよく見かけますが、それらのほとんどは、本来の意味の熟成肉とは似ても似つかぬ偽物ばかりです。

 親しくお付き合いをしていただいている精肉業の経営者は、そのことを嘆き、また心配しています。きちんとした知識を持たずに、いいかげんな保存方法で製造した“熟成肉もどき”によって、食品事故が起こるのではないかと危惧しているのです。肉を熟成させるためにはカビの力を借りるのですが、それはそう簡単にできることではないのです。筆者としては、まがい物の熟成肉で食品事故が起こらないように祈るばかりです。そんなことで、また食品業界や飲食業界全体がやり玉に挙げられるのは本望ではありません。

 また、これも本文に書きましたが、今現在「牛白血病」が急増していることも、深刻な問題です。詳しくは拙著に譲りますが、2015年度に農林水産省が発表した「牛白血病に関する衛生対策ガイドライン」には、そのことが明記されているのです。そしてそれは改善されておらず、見込みも立っておりません。これまでも筆者は、食肉になる牛や豚の有病率の高さに関して、厚生労働省が発表している「食肉検査等情報還元調査」などを参考にして警鐘を鳴らしてきましたが、それを真剣に受け止め、ご理解くださる方は圧倒的に少数でした。

 牛白血病の原因が何であるのか、確たる情報はありませんが、飼料として使われている遺伝子組み換え作物の影響や、大量に投与されるホルモン剤、抗生物質などが関与していることが原因のひとつであることは明々白々でしょう。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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