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こんなに面白い&役に立つ! 教科書、なぜ大人の間で大ブーム?

文・取材=A4studio
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 社会人になってから「若いときに、もっとしっかりやっておけばよかった」と後悔したことがある方は少なくないだろう。

 スポーツや音楽などをイチから始めてみる「大人の再学習」が盛り上がりを見せている昨今。特にビジネスパーソンの間では、仕事につながる部分が大きい、社会に出て重要性を実感した、と中学・高校課程の勉強を改めて行うケースが少なくないという。そして、そんな学び直しにとても有効だと、教科書が今注目されていることをご存じだろうか。

 そもそも教科書は勉強するためにつくられた本であるため、教材には最適。一冊で少なくとも1年間は学習できる大ボリュームにもかかわらず、そのほとんどは1000円もしない。先入観を取り除けばこれ以上ないほどコストパフォーマンスの高い学習教材であり、また現在はネット通販などでも容易に手に入るため、利用している社会人が急増中なのだという。

 この「大人の教科書ブーム」の火付け役となったのが、歴史の教科書でお馴染みの山川出版社が2009年に発売した『もう一度読む山川日本史』『同 世界史』。本書は発売直後から話題となり、「もう一度読む」シリーズは今や累計発行部数・約130万部というベストセラーに。そして、大人向け教科書はほかの出版社からも続々発売されており、今や書店の一角を占める一大人気ジャンルとなっている。

 そこで今回、この「大人の教科書ブーム」の発端である山川出版社に、「もう一度読む」シリーズ刊行の経緯から教科書の魅力、そしてビジネスパーソンが今読んでおくべき一冊などについて教えてもらった。

「もったいない精神」から生まれ約130万部の大ヒット

 そもそも同シリーズは、いったいどうやって生まれたのだろうか。山川出版社の担当者に話を聞いた。

「教科書というものは、文科省の学習指導要領が改訂されるたびにつくり直されます。そのため2009年に高校の学習指導要領が改訂された際、それまで使われていた教科書『日本の歴史』『世界の歴史』が刊行されないことが決まりました。ただ、そのまま眠らせてしまうのはもったいない、一般書としてつくり直してみてはどうだろうかという企画があがったことから生まれたのが、『もう一度読む山川日本史』『同 世界史』だったのです。

 同書は当時の教科書そのままの本文の上に、『以前は○○だったが、研究結果を踏まえた結果、現在では××となっている』といったかたちのコメントを付け足すことで、歴史解釈が今と昔でどう変わっているかがわかりやすくなっているのが特徴です。

 ほかにも雑学的な情報から現代の社会問題を理解するのに役立つ情報まで多数コラムを掲載しています。ですから、一般書のように楽しく読み進めながら歴史の知識が学べるのはもちろん、ひいてはニュースの背景など現代の社会問題が理解できる一冊となっています」

 せっかくの教科書をお蔵入りにするのはもったいないという思いから生まれた本書だが、ここまでの大ヒットは、まったくの予想外だったそうだ。

「実のところ、売れる見込みはあまりないとされていたので、初版は5000部程度だったんです。ところが予想以上の反響があったため発売から1カ月たたないうちに増刷となり、おかげさまで現在では日本史が第26刷、世界史が22刷、またシリーズ11冊の累計発行部数が約130万部という大ヒットとなりました」(同)

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