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堀美智子「薬剤師の目!」

「サバにアレルギー」の危険な誤解…アレルギーと思い込み、ヒスタミン中毒やアニサキス症悪化も

文=堀美智子/薬剤師、医薬情報研究所/株式会社エス・アイ・シー
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「サバにアレルギー」の危険な誤解…アレルギーと思い込み、ヒスタミン中毒やアニサキス症悪化もの画像1「Gettyimages」より

 はじめまして。薬剤師の堀美智子です。今回から、私たちの周りにある薬や化学物質について薬剤師の視点で、お伝えしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 薬局に初めて行くと、初回質問票が渡されます。そこには、服用中の薬や副作用歴の質問とともに、「お薬や食べ物でアレルギーはありませんか」との質問が必ずあります。アレルギーは、体が自分にとってそれが異物であると認識し、それを排除しようとする反応ですから、アレルギーを引き起こされる薬を使用しないように、あるいはアレルギーと関連する食品と同じ成分を含む薬を渡さないようにするために確認する重要な質問です。

 アレルギーの項に記載されるもので、ときどき見かけるのが、「サバでじんま疹」というものです。サバに関係する薬は今のところ存在しないので、サバにアレルギーがあるからといって避けなければならない薬はありません。ただ、イソニアジドという薬を服用中の方は注意が必要ですが、それを服用されていない場合は、特に患者さんに何か質問することもなく、その場は過ぎていくことが多いのですが、実は少し時間があればお伝えしたいことはたくさんあります。

 まず第一は、「サバを食べてじんま疹=サバにアレルギーがある」ということではない場合のほうが多いということです。そこで、サバでじんま疹が起こる理由として考えられることを下記に紹介します。

(1)ヒスタミン中毒について知りましょう!

 サバなどの青魚でのじんま疹の発症が知られていますが、青魚にはアミノ酸であるヒスチジンが含まれています。海水中にいて魚の体表面などに生息する細菌、モルガン菌(Proteus morganii)などは、ヒスチジンをじんま疹などを引き起こすヒスタミンに変換してしまいます。サバに限らずヒスチジンを含む魚介類が古くなると、ヒスタミンの含有量が増え、ヒスタミン中毒を起こしやすくなるのです。

 2018年9月1日、大分県は、保育園でサバの塩焼きを食べた1~4歳の幼児33人と保育士3人の計36人が発疹などの症状を訴え、塩焼きから食中毒の原因となるヒスタミンを検出したと発表し、ニュースになりました。このように集団でヒスタミン中毒が発生すると、サバへのアレルギーが原因だとは考えられませんが、個人で購入したサバが鮮度が低く、ヒスタミンを多く含んだものを食べた場合、それがヒスタミン中毒だとは気が付きにくいですよね。

「サバなど青魚を食べると、じんま疹が出る」という人のなかには、青魚に対するアレルギーではなく、そのとき食べた魚介類の鮮度に問題があったケースも多く存在します。症状としては、口の周りの腫れや頭痛、吐き気、湿疹など。魚介類を食べて、唇や舌先にピリピリとした刺激を感じたらヒスタミン中毒ということもあるのです。ヒスタミンは冷凍しても加熱しても変化しません。鮮度保持が何より大切です。

堀美智子/薬剤師、医薬情報研究所/株式会社エス・アイ・シー

堀美智子/薬剤師、医薬情報研究所/株式会社エス・アイ・シー

薬剤師。医薬情報研究所(株)エス・アイ・シー取締役/医薬情報部門責任者。 名城大学薬学部卒。同大薬学部医薬情報室、帝京大学薬学部医薬情報室勤務を経て、1998~2002年日本薬剤師会常務理事。1998年より現職。2015年より日本女性薬局経営者の会 会長。
医薬情報研究所/株式会社エス・アイ・シー

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