「女性ウケも男性ウケも気にしてない。自分はROLANDでありたいだけ」“現代ホスト界の帝王”が語る美しさと全身脱毛の哲学
「美容男子」が増えている。2018年度のメンズコスメ市場は1200億円規模に到達し、右肩上がりで成長中だという調査データもある。価値観が多様化するなか、男性のメインストリームは、「強さ」より「美しさ」に向かっている。りゅうちぇる、kemio(けみお)といった中性的なカリスマが生まれた背景にも、こうした美意識の変化が影響しているのかもしれない。
そんななか、メンズ脱毛サロンのプロデュースをスタートした人物がいる。“現代ホスト界の帝王”ROLAND。「世の中には2種類の男しかいない。俺か、俺以外か」の決め台詞でブレーク中のあの男だ。
サラサラのブロンドヘアにバッキバキの腹筋。ホスト時代に最高で月6000万円を売り上げた男は、「くだらないSNSを見ているくらいなら、鏡を見ているほうがいい」と言い切る。2018年末に現役ホストを引退し、実業家に転身した彼の「美意識」に迫った。
「情熱を感じられること以外は仕事にしないと決めた」
――美容サプリやヘアケア製品のプロデュースのほか、メンズ脱毛サロンROLAND Beauty Loungeを経営しているそうですね。なぜまた脱毛だったんでしょう?
「かねてから美容には興味があったんでね。ホストを引退してからは、やりたいこと以外やらないって決めたんですよ。情熱を感じられること以外は仕事にしないと。で、何をしようか考えたときに、メンズ美容なら最高のものをめざせると思ったんです。なかでも脱毛って、まだまだメンズでは馴染みがないから、スタンダードになったら面白いなと思って」
「そうですね。自分自身、日本一のホストをめざす過程であらゆる施術を試しました。脱毛って、やっぱり痛いんですよ。人生を生きていくなかで、犠牲なくしてリターンはないと思って耐えてきたんですけど、探しているうちに、痛くなくて効果も高い脱毛方法を見つけて、これならば自信を持ってすすめられると思ったんです」
――それで、自ら脱毛サロンをプロデュースしてしまったと。
「そういうことです。ただ、今の時点では、ほぼ営利目的じゃないです。自分が行きたいサロンがないから、つくってしまっただけ。ここから新しい市場ができればいいなと。それでも自分の名前を冠してやる以上、まがい物を出すようなバカなことはしたくない。そこで、脱毛の機械は最高品質のものにこだわりました。値段は言えませんが、相当高価です」
ROLAND Beauty Loungeで使用している美容脱毛機Lumix-A9は、「SHR方式」という脱毛方法を採用。毛周期に関係なく施術が可能で、痛みも少なく、施術期間も短縮できるのだとか。“現代ホスト界の帝王”に「コレだ」と言われると思わず納得してしまう。
「この世にいい男がいなかったら誰が20万円のピンヒールを買う?」
――男が脱毛するメリットって、なんでしょう? メンタルも変わったりするとか?
「じゃ、聞きますけど、ムダ毛があってよかったと思うことって今までの人生でありますか? マイナスしかないですよね。こんな話があります。僕の知り合いに腕のいい料理人がいるんですけど、スタッフが足りないときに料理を自分でカウンターに出したら、腕の剛毛のせいで『不潔だ』ってクチコミサイトに書かれたらしいんです。でもわかりますよね?」
――なるほど……。でも外見だけにこだわっても中身が追いつかないと意味ないですよね?
「逆説的なんですけど、中身を変える一番の方法って、外見を変えることだったりするんですよね。見えないところをケアすることで、もっと自分を好きになれれば、自信が出るじゃないですか。プラシーボ効果でもいいんです。俺は100%イケてるって思うと不安なんてなくなりますよ」
――でも世の中の8割くらいの男性は、自信がないと思いますけど。
「自信がないやつって、結局、努力不足なんですよ。『理想の自分』であり続けるために努力している人って、かっこいいですよね。自分の美意識を追求するのもひとつの方法だと思いますけどね。僕、いい男を増やすことで、世の中をよくできると本気で思っていて……。だって、いい男がいなかったら、誰が20万円のピンヒールとか買います? 憧れる男に見てもらうためでしょ。そうやって世の中が回っていくわけじゃないですか」
「女性ウケも男性ウケも気にしてない。自分はROLANDでありたいだけ」
――ちなみにROLANDさんは、女性にモテたいって思うんですか? 美意識が女性のほうに向いているような気がしなくて……。
「別に誰かに向けてじゃなくて、『なりたい自分』に向けてるんでね。女性ウケも男性ウケも気にしてないですよ。自分はROLANDでありたいわけで」
――ブロンド&スーツというスタイルもROLANDさんの美学ですよね? モデルはいるのでしょうか?
「誰かをモデルにしたことはないですね。あえて挙げるなら、小学生の頃、映画『ゴッドファーザー』に出てくる洗練されたスーツ姿の男たちに心を奪われたんです。男たるものエレガントにスーツを着こなしたいという美学は、ここがルーツかもしれません」
――ブロンドヘアのほうも映画の影響ですか?
「これはどこから来たんでしょうね。気がついたら、こうなってました。今どきこんな髪型なの、僕か美輪明宏さんくらいじゃないですか? でも、トレンドを追うほうが、自分としてはツラいですよ。実際、流行りの服ってぜんぜん興味がなくて、納得のいく最高のスーツをオーダーメイドで仕立てて、その1着を大切に着るほうがかっこいいって思っています。それに、いつも同じ服を着てると、金持ってると思われなくていいんですよ。『金貸して』とか言われると面倒じゃないですか(笑)」
「ROLANDになぜモテるかって聞くのは日本人に箸の使い方がうまい理由を聞くようなもの」
――話を脱毛に戻しますが、やっぱりツルツルになるとモテますかね?
「モテようと思ってモテるものじゃないですよね。努力なくして、モテることはないわけだから、脱毛をして美意識を上げるのもいいんじゃないですか。常にかっこよくいようと努力を続ければ、自然と結果はついてきます」
――愚問ですけど、どうしたらROLANDさんのようにモテるようになれますかね?
「ROLANDになぜモテるか聞くっていうのは、日本人になぜ箸の使い方がうまいのかって聞くようなものですよね。つまり、答えようがない」
――女性にモテることは、生きるためのモチベーションではないんですね?
「不特定多数の女性に愛されたいという願望はないですね。女性も服と一緒で、大切な人がひとりいればそれで十分です」
――いい女としたいみたいな願望って、今どきダサいんですかね?
「いいんじゃないですか。人間の三大欲求のひとつだし。僕は興味ないですけど。それよりも、自分の事業で少しでも世の中を変えられたら、そんなに自己顕示欲を満たしてくれることってないですよね」
――下世話な質問ばかりで失礼しました。最後に実業家としての今後のビジョンを教えてください。
「数字的な目標とかはまったくないです。これだけ稼ぎたいとか、もともとないんですよ。幸い、生まれ育った環境で、ツラい思いをしてきたわけではないので、“ハングリー精神”ってなくて……。おかげさまで値札がついてるものならだいたい買えるようになりましたが、そんなにほしいものもないし。現状、かなり幸せなんですよね。今、自分にとって大切にしたいのは、従業員の幸せ。その上で、自分の事業で世の中の人を少しでも幸せにしたいと本気で思っています。僕の脱毛サロンで、人生が前向きになる男性が増えるなら、新たな出店も考えるでしょうね」
くだらないSNSを見ているくらいなら、鏡を見ているほうがいい——。そのストイックなまでの美意識は、確実に世の男たちに波及している。
幼少期からサッカーに明け暮れ、帝京高校で全国一をめざした経験があることでも知られるROLAND。月6000万円を売り上げ、歌舞伎町の伝説になったROLAND。「自信がないヤツは努力が足りない」。彼の言葉には、独特の重みがある。
「どうせ俺なんて……」と自らの容姿から目を背けている男性諸君! まずは、スネ毛でもツルツルにしてみるといつもと違う景色が見えてくるのかもしれない。
(文/丸茂アンテナ 写真/石黒淳二)