梅雨、意外と高い熱中症リスク…雨の日はエアコンをつけるべき、マスク使用も要注意
新型コロナウイルス感染拡大の影響によるさまざまな不安や外出自粛などで、心身ともにバテ気味の方も増えていると思います。その状況に加えて、梅雨入りしたことで、さらなる不調が予想されます。
もともと、6月は「あなたが一番不調を感じるのは1年にうち何月ですか?」というアンケートで、3月と並び1、2位を争うほどの“不調月”です。
その原因のひとつとして、湿度の上昇が挙げられます。湿度は低すぎても高すぎても身体にとって悪影響があるのですが、梅雨時期は当然、高すぎることで体に負担をかけます。さらに、地球温暖化によって温度だけでなく湿度も上昇しており、現在は温暖化前に比べて、仕事の生産性が90%に低下していると、英科学誌「Nature」で発表されています。
人が快適に仕事できる湿度は40~60%程度です。一般的なオフィスは、どの季節でもこの範囲内に常時収まるように空調が調整されています。しかし、一般の家庭では少し油断すると、この範囲を軽く超えてしまうケースが多々起こります。
2003年に早稲田大学理工学総合研究センター客員研究員だった堤仁美氏(現昭和女子大学准教授)が行った湿度と生産性に関する調査では、湿度が70%を超えたあたりから、顕著にタイプミスの数が向上し、入力数が低下したと報告されています。
7月から9月にかけて日本は湿度が非常に高いですが、この時期は一般家庭でもクーラーをつけていることが多いので、湿度に問題はありません。なぜならクーラーは空気を冷やす時点で、空気から水分が抜けるからです。そのため、夏になると家の中でも案外、湿度は最適化されているのですが、梅雨時期は、温度がそれほど高くないので、クーラーをつけないことが多く、気づけば湿度が80%を超えているということが、ままあるのです。
そもそも、普通に暮らしていると、部屋の湿度が何%あるのかということすらわかりません。湿度を知るためには、湿度計が必要です。湿度計は、有名一流メーカーのデジタル計で2000円程度、あまり有名ではないメーカーのデジタル湿度計で1000円程度です。そしてアナログの湿度計であれば「100円ショップ」でも売っています。筆者はどれもいくつか所有していますが、ほとんど同じ値を指しています。体温計であれば少しの誤差でも問題がありますが、湿度計はそれほどの精度を求めないので、100円ショップのもので十分だと思います。
梅雨時期は雨が降っている日は、すぐに80%を超え、90%を超えることもざらにあります。ですから湿度計が70%を超えたら、クーラーの「ドライ機能」を使うようにしましょう。7月になれば室温を下げる冷房を使うことになるので、ドライ機能を使うのは年間でも、この時期だけになります。もちろん、温度も下げたい時はドライ機能ではなく冷房にすることをお勧めします。
さらに覚えておいてほしいこととして、湿度が高いと熱中症になりやすいということがあります。熱中症は、その名前から“猛暑の日に起こってしまう”と勘違いしてしまいがちですが、実は「高温度・高湿度」によって、人間の体温や発汗の調節機能が乱れてしまうことが主原因なのです。
総務省の統計では、昨年は5月の時点で4448人の熱中症が報告されました。ですから梅雨時期は湿度の上昇によって、すでに熱中症のシーズンに入っていることを忘れないでください。また、最近ではコロナの影響によって梅雨時期にもマスクを着けていることが多いので、厚生労働省は熱中症対策として、周りに人がいない時にはマスクを外すよう喚起しています。
先述した通り、梅雨は不調をもっとも感じる季節なのに、ほとんどの方が対処されていません。在宅が多くなっている今こそ、湿度対策に力を入れて、体調を崩さないようにしてください。
(文=角谷リョウ/パフォーマンスコーチ)