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熊谷修「間違いだらけの健康づくり」

30~50代の「体の虚弱化」が深刻なレベルに…老後に待ち受ける危険な事態

文=熊谷修/人間総合科学大学教授

 このような年齢差は女性も同様で、20代は11.1%、30代は17.6%、40代は17%、50代は14.6%、60代は22.7%、70歳以上は41.7%となる。年齢を増すと出現割合が上がるのは、老化による栄養失調の者が増えるためである。数値割合を男女、年齢階級別を絡め総括すると、50代以上では男女とも出現割合はほぼ同じであるが、20代、30代、40代では女性が男性の数倍の割合になっている。出産可能年齢の女性では健康リスクを抱えたたんぱく質栄養が低い“隠れ虚弱者”が、相当程度いることがわかる。当然、出産リスクは高まる。

 次に、この割合を3年後の26年データと比較しトレンドを見てみる。各年齢の隣のグラフ棒が26年データの割合である。男性は20代を除いて増加している。女性は、20代は11.1%から8.2%と減っており状況は良くなっているように見えるが、実際はグラフでは示していない血清アルブミン3.8g/dL未満の極めてたんぱく質栄養が低い者の割合が3倍(3.5%新たに出現)に増えており悪化である。30代以上はすべての年齢層で増加しており、特に40代は16%、50代は10%程度急増している。

 この血清アルブミンがわずかに低くなった“隠れ虚弱者”がミドルとシニアが急増しているのである。これは、血清アルブミンが4.4g/dL以上の健康リスクが回避できている者の割合の減少によるものである。

 からだの虚弱化は老化が顕在化するシニアの健康問題ではない。働き盛りのミドルの健康問題でもある。日本人の虚弱化ははっきりとしてきた。“隠れ虚弱”ミドルの老後が心配だ。
(文=熊谷修/人間総合科学大学教授)

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熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

1956年宮崎県生まれ。人間総合科学大学教授。学術博士。1979年東京農業大学卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国最初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者である。東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、介護予防市町村モデル事業支援委員会委員を歴任

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