安倍政権、中国の植民地化するカンボジアに「選挙支援8億円」…欧米が独裁化を非難
「カジノで外国人観光客を日本に呼び込む」という政府の発想は時代後れもはなはだしい。先の国会で可決、成立したいわゆる「カジノ法案」(統合型リゾート実施法)であるが、カジノを取り巻く国際情勢を無視したもの。このままでは2020年の東京オリンピック・パラリンピック以降の外国人誘致の切り札とされるカジノ構想は「絵に描いた餅」に終わるだろう。
実は、日本にとってライバルとなりうるアジア地域でカジノが繁盛していたのはマカオ、シンガポール、カンボジアの御三家。しかし、カンボジア以外はいずこも集客が減り、収益も急落中。その最大の理由は中国からのハイローラー・ギャンブラーの減少である。この世界では公然の秘密であるが、マカオやシンガポールのカジノで大枚を投じていたのは中国の党や政府の幹部たちであった。
その実態は資金洗浄であり、事前に胴元とすり合わせをし、裏金を渡した上で、「勝った、負けた」の振りをしながら、最終的に利益を懐に入れて帰国する仕掛けが見事なまでにできていた。飛び交うのは個人マネーではなく公金であるため、1回の掛け金も100万円や200万円は当たり前。数千万から数億円単位での洗浄資金ありきのカジノブームであった。
ところが近年、習近平国家主席が綱紀粛正を掲げ、幹部の腐敗を徹底的に取り締まるようになったため、カジノを訪れる公金持参の中国人は激減。その結果、マカオもシンガポールもカジノは閑古鳥が鳴く有様。もちろん、少額の掛け金でスロットマシーンやバカラ、ルーレットを楽しむ個人客はいるが、投じられるお金は微々たるもの。
本家のアメリカやフランスでもカジノは倒産が相次いでいる。あのトランプ・カジノも閉店を余儀なくされたほど。そんななか、ベトナム、マレーシア、フィリピン、韓国でも「我も我もと」カジノが林立したが、実際はどこも儲かっていない。唯一、気を吐いているのがカンボジアである。それはなぜか。
胴元が勝つように仕組まれた選挙
7月29日の国政選挙でフン・セン首相率いる与党が全議席を獲得するという大勝利を果たした。まさに、胴元が勝つように仕組まれた選挙であった。対立する野党はすべて解散させ、人気のあった野党政治家は国外追放。有権者には与党に投票しなければ職や土地を没収すると圧力をかけた。欧米諸国は猛反発。選挙の無効を訴えている。あまりにも「出来レース」であるからだ。
しかし、そんな選挙を支援するため、日本政府は8億円を提供した。たとえば、投票所で使われたジュラルミン製の投票箱はすべて日本から提供されたもの。日本は選挙監視団の派遣を直前にキャンセル。というのも、現地の選挙監視の責任者は、ほかならぬフン・セン首相の三男。前回は各政党が選挙監視の任にあたっていたが、今回は与党の人民党のみが監視するという「胴元ありき」の選挙であった。