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浜田和幸「日本人のサバイバルのために」

安倍政権、中国の植民地化するカンボジアに「選挙支援8億円」…欧米が独裁化を非難

文=浜田和幸/国際政治経済学者

 30年にわたって独裁体制を維持してきたフン・セン首相のお気に入りが、ほかならぬカジノ・ビジネスである。中国からの膨大なインフラ投資資金が流入したお陰で、65カ所を数えるカンボジアのカジノはいずこも大繁盛。24時間、不夜城と化したカジノ周辺では犯罪も増加している。にもかかわらず、カジノの数は今も増え続けている。そのうち、50以上のカジノは中国人の経営である。

 それ以外にもオンライン・カジノが人気を集めているという。これらは違法ビジネスであるが、カンボジアでは法的整備が遅れているため、中国マフィアにとっては願ってもない環境と受け止められているようだ。マカオやシンガポールでは取り締まりが厳しくなっているため、犯罪組織にとってはカンボジアが穴場となっているわけだ。もちろん、オンライン・ギャンブルは中国でも違法とされている。しかし、法の抜け道を探し、新たなビジネスに結び付けることに関しては天才的な能力を発揮するのが中国人といわれる。

 なにしろ、中国とカンボジアは週94便の直行便で結ばれているほど。17年には中国人が20万人近く、直行便を利用してやってきた。これは前年のほぼ倍である。それ以外にもタイやベトナムとも国道で直結。多くのギャンブラーが陸路でも殺到している。

 なかでも「シアヌークビル」はカジノのためにできたような町。フン・セン首相の肝いりで、この2年間で13億ドルの資金を投入し、リゾート整備を進めてきた。最大の後見人でもある中国はカンボジアに20年までに毎年200万人のカジノ客を送り込むと約束。カンボジア政府も中国人にはビザを免除し、香港のカジノ会社を優先するなど阿吽の呼吸で対応している。

「次なるマカオ」

 これは明らかに中国の進める「一帯一路計画」の1兆ドルをテコに「次なるマカオ」を目指そうとする動きである。1980年代、中国はクメール・ルージュを支援していた。その当時、フン・センは「中国こそ諸悪の根源である」と北京への敵意を露わにしていたものだ。変われば変わるものだ。シアヌークビル周辺では、すでに104の中国企業が進出し、繊維、機械、電子部品等の工場を稼働させている。

 今後、その数は250から300に拡大する見通しで、当然のことながら、安価な土地と労働力が牽引車となっている。「地元にも8万人の雇用の場を生み出す」という触れ込みだ。かつては、欧米からのバックパッカーらがマリファナを目当てに訪れる程度であった。

浜田和幸/国際政治経済学者

浜田和幸/国際政治経済学者

国際政治経済学者。前参議院議員、元総務大臣・外務大臣政務官。2020東京オリンピック招致委員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士

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