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平成は災害の多い時代でもあった。その際、被災地の人々に皇后陛下とともに親しく声を掛けられ、ひざまずかれもした。心身に障害がある人々にも親しく接せられた。内外を問わず、先の大戦の戦地を訪れ、深い祈りを捧げられた。これにより、政治では救われない数多くの人々の心が救われた。天皇にしかできない高次元での精神的統治だ。
昭和61年5月26日、まだ皇太子であった陛下は読売新聞への文書回答で「天皇は政治を動かす立場にはなく、伝統的に国民と苦楽をともにするという精神的立場に立っています。このことは、疫病の流行や飢饉に当たって、民生の安定を祈念する後嵯峨天皇以来の天皇の写経の精神や、また、『朕、民の父母と為りて徳覆うこと能ず。甚だ自ら痛む』という後奈良天皇の写経の奥書などによっても表されていると思います」と述べられている。
陛下が追求された「象徴」とは、「国民と苦楽をともにするという精神的立場」であり、「民の父母」であろうとする伝統的な天皇の姿でもあった。それが30年を経て国民にも理解され、支持された。平成はそういう時代であった。
本日を迎えて多くの国民は、このような天皇を戴ける国の民として生まれたことの幸せをかみしめているに違いない。天皇陛下、長い間、本当にありがとうございました。
(文=八木秀次/麗澤大学教授)
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