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2014.05.09 00:03
2014.05.09 00:01
「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第2部>」第75回
“新聞業界のドン”が自らジャーナリズムの手足を縛った2つの裁判とは…
「わかっていますよ。太平洋戦争の時はマスメディアが軍部と一緒になって国民を無謀な戦争に邁進させたけど、今は何の定見もなく、“張り子の虎”を笠に着て欲望にうつつを抜かすだけ。その間に日本が没落へ向かう速度をどんどん速める。それ自体は“未必の故意”だけど、僕も諦めます」
沈鬱な面持ちの深井が吐き捨てるように言った時、新橋の地下鉄の出入り口に着いた。そして、二人は銀座線に乗り、渋谷まで行く深井は赤坂見附で丸の内線に乗り換えた吉井と別れた。その間、混雑していたこともあり、二人は言葉を交わすこともなく、別れる時もお互いに目礼しただけだった。
(文=大塚将司/作家・経済評論家)
【ご参考:第1部のあらすじ】業界第1位の大都新聞社は、ネット化を推進したことがあだとなり、紙媒体の発行部数が激減し、部数トップの座から滑り落ちかねない状況に陥った。そこで同社社長の松野弥介は、日頃から何かと世話をしている業界第3位の日亜新聞社社長・村尾倫郎に合併を持ちかけ、基本合意した。二人は両社の取締役編集局長、北川常夫(大都)、小山成雄(日亜)に詳細を詰めさせ、発表する段取りを決めた。1年後には断トツの部数トップの巨大新聞社が誕生するのは間違いないところになったわけだが、唯一の気がかり材料は“業界のドン”、太郎丸嘉一が君臨する業界第2位の国民新聞社の反撃だった。合併を目論む大都、日亜両社はジャーナリズムとは無縁な、堕落しきった連中が経営も編集も牛耳っており、御多分に洩れず、松野、村尾、北川、小山の4人ともスキャンダルを抱え、脛に傷持つ身だった。その秘密に一抹の不安があった。
※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。
※次回は、来週5月16日(金)掲載予定です。
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