トリプル3は簡単ではないが実現可能な数字
そこで、改めて東京カンテイの『中古マンションのリセールバリュー&賃料維持率 2017』を見てみると、資産価値が上がっているのは、人気住宅地だけではないことがわかります。現在はさほど人気はなくても、高いリセールバリューを確保しているエリアが少なくないのです。その共通項を探っていけば、資産価値向上が期待できる物件に巡り合えるのではないでしょうか。それが“トリプル3”ということです。
ご承知のようにトリプル3というのは、プロ野球で、同じシーズンに打率3割、ホームラン30本、盗塁30を達成することを指します。もちろん、簡単なことではありませんが、実際に何人か達成しています。
では、マンション選びのトリプル3とはどんな条件なのでしょうか――その第一は徒歩時間。最寄り駅から徒歩3分以内ということです。
人気エリアの徒歩10分よりお隣の徒歩3分?
マンションは何よりも立地条件が最優先といわれますが、徒歩時間が決定的な要因になります。一昔前までは、マンションは徒歩10分以内、できれば7分以内、などといわれましたが、最近は駅前の再開発などでより便利な物件が増えているため、その徒歩時間の条件が短くなっています。
図表2をご覧ください。これは、東京カンテイのリセールバリューの調査を、徒歩時間別に分析してグラフ化したものです。徒歩3分以内なら、リセールバリューは100%を超えていますが、徒歩4分~6分では98.3%と100%を切り、徒歩7分~10分では93.8%と分譲時価格より1割近く下がっていることがわかります。10分超では1割以上下がってしまうのです。
極端にいえば、人気エリアの徒歩10分超のマンションより、そのお隣の駅の徒歩3分以内の物件を狙ったほうが値上がりを期待できるかもしれません。
最高階30階以上のマンションなら3割以上アップ
第二の条件が最高階、つまり何階建てのマンションかということです。都心や周辺エリアの駅前などに20階建て以上の超高層マンションが増えていますが、増えているとはいえ、まだまだ希少性が高く、資産価値が高いという結果になっています。図表3にあるように、15階建て以上だとリセールバリューが100%を超え、30階以上は133.4%に達します。つまり、30階建て以上のマンションなら、分譲時の価格より3割も高い価格で取引されているということです。
30階建てのマンションなら、低層階でもほぼ同じ効果が期待できます。分譲時の価格は低層階ほど安く設定されていますが、中古住宅としての取引時の価格には、分譲時ほどの差がつきません。もちろん、上層階ほど高いのですが、低層階も上層階に引っ張られて値上がりするので、むしろ分譲価格の安い低層階を狙ったほうが、資産価値の向上という点ではより大きな期待が持てるかもしれません。