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山崎元「耳の痛い話」

にわかバブルっぽい株式相場、そろそろ「降りる準備」をしたほうがよい 突然下落懸念も

文=山崎元/楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表
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 現在注目されている公的資金の買いは、例えば株価が上がっている間に企業の利益が「予想以上に」大きく改善するとか、法人税率の引き下げが「予想以上に」大幅に決まるといった好材料が発生しない限り、「カネの切れ目が、縁の切れ目」よろしく、「公的資金の買い終わり」が「上げ相場の終わり」になってしまう。

 問題は、公的資金が株式を買う速度だが、大まかにいってGPIFの動きは割合速いことが予想できる。他方、共済年金やかんぽ生命、ゆうちょ銀行は、GPIFよりもゆっくり動くことになりそうだ。だとすると、株価へのインパクトは、世界の機関投資家が動かす資金の流れのほうに、より大きな影響を受けそうだ。「公的資金が買いに入るから大丈夫」とタカをくくっていると、米国の金融引き締めや欧州の金融不安などの悪材料が生じた時に、株価が大幅に下落する可能性があるので、注意したい。

●株価は「勢い」より「水準」に注目

 公的資金の買いのような、需給要因で株価が攪乱されている時の基本的な考え方は、「株価の動きと勢い」ではなく「株価の水準」に着目することだ。連日株価が上昇して相場が盛り上がってくると、つい株価の「勢い」に気を取られがちだが、「昨日よりも株価が高い」ということは、将来の利益予想を一定とすると「昨日よりも株式投資に期待できるリターンが低い」ということなのだ。

 株価の水準を考える時には、長期金利(長期国債利回り)のような金利と比較して高・安を判断することが一般的だ。しかし現状では、長期国債利回りも日銀によって低く抑えつけられているので、比較の基準がわかりにくい。

 一株当たり利益に対する株価の倍率のことを「PER」と呼ぶが、現在の東証一部平均で約18倍というPER(日経新聞予想利益ベース)は「やや高い」。これが、20倍を超えると「はっきりと高い」と判断すべきである。

 金融が緩和される中、株式市場に大きな資金が投入されて、「にわかバブルっぽい」相場になってきた。バブルだとすると(仕上げの段階だと思われるが)、株価が2万円を超えてから一層勢いがついてしまうようなケースも考えられるが、日経平均で2万1000円弱がPER20倍である。投資をすっかりゼロにするような極端な動きには走らないほうがよいが、株価を見ながら「少しずつ降りる」準備を考えておくべき頃合いのように思える。
(文=山崎元/楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表)

山崎元/楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表

山崎元/楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表

経済評論家。楽天証券経済研究所客員研究員。(株)マイベンチマーク代表取締役。1958年北海道生。1981年東京大学経済学部卒業、三菱商事に入社後金融関係の会社に12回の転職を経て現職。資産運用を中心に経済一般に広く発言。将棋、囲碁、競馬、シングルモルト・ウィスキーなどに興味
評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」

Twitter:@yamagen_jp

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