人気ブラック企業アナリストが、ダメ社員を抜け出した方法とは?
そこで、私自身ダメ社員として苦労してきた経験を生かして、今の会社の規模や学歴とは関係なく、
「こういう方法ならば誰でもできるだろう」
という習慣を編み出してきました。その習慣を、苦労しているけど報われない多くのビジネスパーソンに読んでほしいとの思いで、今回、本書を執筆しました。本書を通じて、「自分では気づいていないちょっとした習慣を変えるだけで、変わることができる」ということをお伝えできればと思っています。
入ってみたら、ブラック企業だった
――本書には、新田さんが大卒後に入社した会社が、ブラック企業だったとあります。
新田 ええ。当時、その会社は急成長中の企業で、メディアからも注目されていました。また、将来的には上場するだろうということで勢いもありました。学生時代にその会社の社長さんと、とあるご縁で出会っていたこともあり、新卒ではなかなか配属されない本社の企画部門に配属してくれる、という条件で入社しました。
しかし、入社当初は、仕事をナメていて素直じゃなかったので、失敗ばかりで典型的なダメ社員でしたね。というのも、大学3年生の時に、クラブイベントを主催する企画の会社を立ち上げ、そこそこ成功していたため、仕事を甘く見ていたせいでした。
その当時は、ITバブルの最中だったこともあり、学生相手でも割と簡単にIT系企業がスポンサードしてくれたのですね。こうした経験があったので、仕事に対して慢心があり、上司の言うことを聞かず、自分のやりたいように自分のやり方で仕事を進めてしまいました。
――具体的には、どんな失敗がありましたか?
新田 雑用やルーティンワークでは手を抜きまくっていました。例えば、大規模なプロジェクトで社員10人が現場を訪問する際に、集合場所を間違って伝えたために金銭的にも時間的にも大きなロスが生じたり、ファックスの送り先を間違えたり、確認を怠り、些細なミスが大きな傷になってしまうことが頻発していました。本来であればこうしたミスは、素直に上司の言うことを聞いて、入念に確認をしながら仕事を進めていれば、起こらないものばかりです。
――ミスを繰り返し、上司からは怒られてばかりという中で、そのような自分を変えるターニングポイントが、何かあったのでしょうか?
新田 入社1年目はミスも多く、仕事も遅かったので上司から怒られてばかりで、不本意な思いをしていました。翌年になると、後輩が入ってきました。私は上司からは厳しくされていたので、後輩には優しくしようと、彼の仕事のサポートやアドバイスをしていました。そうして接していくうちに、彼の仕事に対する要求水準が上がってきて、「もっとできるだろう」という思いが募り、よく叱責するようになっていきました。
その時に初めて、それまで私を叱責していた上司の気持ちがわかったのです。それまでは、上司が私のことを怒るのは、私がミスをし仕事も遅いから憎まれて遠ざけられているからだと思っていました。しかし、そうではなく、上司には「お前ならもっとできるはずだ」という期待があったからこそ、厳しいことを言っているのだと気が付きました。それからは上司からの叱責も不本意とは思わず、むしろ自分に対する期待に応えていかなければいけないと反省し、仕事に励むようになりました。
がんばっても評価されない理由
――新田さんにも、「自分はがんばっているにもかかわらず、なかなか評価されない」と悩んだ時期があったのですね。
新田 当時は朝6時に仕事を始めて、夜中の2時まで働いていました。寝袋を会社に常備していましたね(笑)。長時間働いていましたが、あとから考えるとそれは「甘え」でしかなかった。学生であれば長時間働いたというプロセスに対して「がんばっているね」と評価してもらえる。しかし、社会人になると、プロセスではなく成果を出さないと評価はされないんです。
――「社会人は成果でしか評価されない」ということに自分を気付かせた、契機のようなものはあったのでしょうか?