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au、相次ぐ通信障害や虚偽広告を生むKDDIの隠蔽体質、ユーザ軽視、縦割り組織

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au、相次ぐ通信障害や虚偽広告を生むKDDIの隠蔽体質、ユーザ軽視、縦割り組織の画像1KDDI本社が所在するガーデンエアタワー(「Wikipedia」より/呉)
 携帯電話の高速データ通信サービス・LTEでの通信障害、iPhone 5の広告虚偽表示問題など、不祥事が続いているKDDIau)。以前同社に勤務していたという鈴木さん(仮名)は「1人のユーザーとして怒りを覚える」と同社を批判する。そんな鈴木さんに、連続して不祥事を生んでしまう同社の体質や問題点などについて聞いた。

–なぜKDDIで不祥事が頻発するのでしょうか?

鈴木 例えば、エリア偽装事件では、あれだけ大きな会社が最初から偽装しようと考えて意図的にやったというのはあり得ません。私は、技術部門と広報部門のコミュニケーション不足から起きた問題だと見ています。広報は回ってきたメールや資料を見て「実人口カバー率は96%」と出したが、LTEだけは違っていたと。しかもiPhone 5だけは違う帯域があって、それを広報が把握していなかった。総務省の指導で、使う電波帯域について再編があり、最近は電波帯域が複雑になっています。全部で4つの帯域を使っていますが、機種によってどの帯域を使っているかも違います。

–技術と広報だけの問題ではなさそうですね。

鈴木 典型的な大企業病で、社内は縄張り意識が強いんです。技術部門で「これはまずいだろう」と気づいていても言わなかったり、上司から「ユーザーは気づいてないから黙っておけ」と指示されたり。しかし、現実には通信できない状態になっていて、担当者は内心では「お客さん困っているだろうなあ」と思っています。しかし、上司は「営業が何か言ってきたら対応しろ」とか平気で言います。携帯電話で通信障害が起きるのは仕方がないことですが、大切なのは事後処理の問題なんです。

–営業とは、具体的にどの部署でしょうか?

鈴木 法人営業部のことです。会社単位で使っている大口顧客には営業担当者がついています。営業も、技術的なことをわからずに売っているケースが多い。だから、広報などは営業以上に知らないんじゃないかな。きっと、2GHzと800MHzの違いも知らないかも。本当は何か広報資料や広告を作ったら、技術部門に「技術的に間違いないか」と聞いてくるべきなのに、それもありません。これは憶測ですが、広報も聞くに聞けない状況があるのかもしれません。

–KDDIは大会社ばかりが合併して今の形になったのですが、それも影響していますか?

鈴木 KDD出身者とDDI出身者とIDO出身者、日本高速通信、東京電力系の通信会社TTNetから来た人が混ざっています。ただ、auは主にKDD出身者で、固定電話はDDI出身者ですね。すみ分けているわけではないのでしょうけど、なんとなくそうなっています。合併してずいぶん時間がたっているのに、今もそういう縄張りがあります。

–経営陣にも問題があるのでは?

鈴木 先に破たんするのはKDDIかコダックか、と言われるくらい経営的に危ない時期があったようですが、今はすっかり立ち直ったみたいですね。スマートフォン(スマホ)に関しては、かなり出遅れました。最初は「こんなの誰が使うの?」なんて言っていたそうで、参入しない方針でした。ところが、ソフトバンクがiPhoneを出してきて、MNP(携帯電話番号ポータビリティー:番号変更なしで他社の機器に乗り換えること)でどんどん抜かれて、こりゃまずいぞということになった。経営判断のミスですよね。数年前の新年社長挨拶でも、スマホの参入遅れについて「KDDIは万人受けするサービスを追及したところ、特徴のないサービスができ上がった」と言っていました。

●ずさんなカスタマーセンターの対応

–社内がそういう状況だと、クレームは多いんじゃないですか?

鈴木 多いですね。個人ユーザーのクレームはカスタマーセンターに入りますが、KDDIがまずいのは、ユーザーにちゃんと情報を出さないこと。大きな会社なので、情報を出すタイミングを考えるのは理解できるのですが、体質的にまず隠そうとしますから。

–クレームで何か具体的な例はありますか?

鈴木 富士通のスマホで「ARROWS Z」という機種ですが、1日に30回くらい電源が落ちるという障害がありました。

–1日に30回も?

鈴木 ええ、妻が「AROWWS Z」を使っていましたが、しょっちゅう再起動して、使い物にならない。この障害がある日を境に突然起きるようになりました。

–原因はなんだったのでしょうか?

鈴木 アップデートをした端末で起こるということが判明しました。社員用の社内メールシステムで“ひらメール”というのがありまして、そこに「アップデートを緊急中止した」という知らせが回ってきたのです。私は、いちユーザーのふりをしてカスタマーセンターに「電源が頻繁に落ちるんですけど」と電話してみました。そしたら「当社は把握していません」と言われました。「そんなこと言ったって、ネットでも話題になってますよ」と言えば、「それはネット上のウワサです」との返答。「全国で、みんなこんなに文句言ってますよ」と言ったら、「当社では、まだクレームをお受けしておりません」だと。

–ひどい対応ですね。

鈴木 すごく腹が立ちました。すぐに実態を明らかにして「申し訳ありません。現在原因を究明中です」と謝るべきなのに。緊急でバージョンを戻すようなアップデートをすれば、傷が浅くて済んだのです。被害者が増えていても、知らぬ存ぜぬで逃げ切れると思っているからとんでもない。さらに、カスタマーセンターは「それは端末の不具合かもしれないので、個別の問題ですから営業店に問い合わせてください」とアナウンスしますので、ユーザーは営業店に行けば、こんどはそこで待たされます。会社は時間稼ぎをしている間に、いつのまにか不具合を直すようにバージョンアップしていて、端末は知らない間に直っているというわけです。

BusinessJournal編集部

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