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開始前から事故続出のマイナンバー、憲法違反の疑い 国民に甚大な危険・負担の恐れ

文=小石勝朗/ジャーナリスト
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 今後、個人番号カード(ICカード)と健康保険証、印鑑登録証明書などとの一体化が進めば、カードの所持が事実上強制されて「マイナンバーを第三者に知られたりカードを不正取得されたりする機会は激増し、危険性は極めて高まる」とも言及している。

安全保障上の問題も

 注目されるのは、マイナンバー制度の危険がより強く及ぶのは、むしろ権力に近い側の人たちだと指摘していることだ。たとえば、政府要人、防衛産業の技術者、自衛隊関係者らの個人情報が狙われた場合、マイナンバーを使って検索・名寄せがしやすくなり不正取得されるおそれが高まるとして、「安全保障上の危険性にもつながる」と警告した。

 さらに、政府の安全対策が極めて不十分であること、3000億円とされる初期投資に見合う効果が明示されていないことなどにも触れて、マイナンバー制度の不要論を展開している。

 ところで、制度の土台となった住基ネット(2002年稼働)でも全国民に11桁の住民票コードが振られ、各地で違憲訴訟が起きた。高裁レベルで違憲判決も出たが、最高裁は08年に「合憲」と判断した。

 この点について弁護団は「マイナンバーが付される個人情報は、税や社会保障といった機微性が高いものであるうえ、民間も番号を扱う。氏名や住所などが対象で行政機関の利用に限られた住基ネットとは前提が異なり、住基ネットが合憲だからマイナンバー制度も合憲ということにはならない」と説明している。

 マイナンバー制度をめぐってはすでに、通知カードの配達遅れだけでなく、制度に便乗した詐欺の被害が表面化したり、自治体が誤って個人番号を記載した住民票を発行したりといったトラブルが続発している。提訴後の記者会見で、東京弁護団の水永誠二弁護士はこう語った。

「マイナンバー制度は1億3000万人もの個人データを扱う巨大インフラで、いったん動き出してからでは修正が極めて困難です。スケジュールありきで進めるのではなく、大量の個人データ流出やなりすましなどの弊害が大きな社会問題になる前に差し止め、プライバシー保護の観点から見直すことが必要です」
(文=小石勝朗/ジャーナリスト)

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