
健康志向やナチュラル志向の高まりにより、近年、日本でも耳にする機会が増えた「ヴィーガン」。東京都内にはヴィーガンを売りにするカフェやレストランが続々とオープンしている。
ヴィーガンとは「絶対菜食主義者」という意味で、従来のベジタリアンとは似て非なるものだ。より厳格な菜食主義者であるヴィーガンは、肉や魚などの動物由来の食品はもちろん、卵、牛乳、チーズなどの乳製品も口にしない。つまり、根底に動物愛護の精神を持つ、意識の高い食生活を送る人々といえる。
しかし、このヴィーガンをめぐっては、がんなどの病状が悪化する可能性を指摘したアメリカの最新研究結果もあり、実践者が原因不明の体調不良に陥ったという話も少なくない。果物にこだわる果実食主義者かつヴィーガンといわれていたアップル共同創業者のスティーブ・ジョブズも、2011年に56歳の若さで膵臓がんによって死去している。こうしたことから、早死にするリスクを指摘する専門家もいるほどだ。
実際、東京・多摩市で患者の体を根本から変えることをモットーに整体などを行っている桜ヶ丘整体院院長の松原秀樹氏は、ヴィーガンなど「菜食主義を徹底している人ほど、病状の回復が悪い」と指摘する。
ヴィーガンの実践で栄養失調&老化が早まる?
アレルギー性鼻炎をはじめ、幼少時からいくつもの慢性症状に悩まされてきた松原氏は、「玄米菜食(マクロビオティック)」などの自然食や健康食品、「ヨガ断食」など、さまざまな食事法を試みたが、まったく効果がなかったという経験を持つ。
「当院を訪れる患者さんには、そもそも西洋医学が嫌いだったり、投薬が嫌いだったり、『可能な限り病院に行きたくない』という病院嫌いだったりして、『自然療法で治したい』という思想や考えを持つ人が多い。そして、そういう患者さんに比較的多いのが菜食主義者です。ところが、菜食主義を真面目に実践する人ほど治りが悪く、特に玄米菜食を実践している患者さんは、その傾向が強いのです」(松原氏)
松原氏の整体院には、腰痛をはじめ、体のどこかが痛くなったことをきっかけに来院する患者が少なくない。しかし、松原氏は、その体の痛み自体が日ごろの食事に起因する場合が多いという。
「率直にいうと、ヴィーガンや玄米菜食を実践している人たちの体は栄養失調の傾向があり、ほとんどの人が、それが原因であちこちが痛くなっているのです。骨盤がゆがんでいるとか、そういうこと以前に、栄養が足りていないために骨がもろくなり、軟骨がなくなり、筋肉が弱くなっている。さらにいえば、ヴィーガンの人の多くは貧血か貧血気味です」(同)