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荻原博子「家庭のお金のホントとウソ」

来年の消費増税、見送りの可能性(3)…低所得者対策カットでも軽減税率の財源不足

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麻生太郎財務大臣(写真:AFP/アフロ)
 本連載の前回記事前々回記事で、安倍晋三首相が消費税を引き上げない3つの理由についてお伝えしました。ひとつ目は「来年は、大きな選挙が2つある」、2つ目は「消費税引き上げには、アメリカのドナルド・トランプ大統領が大反対する」というものでした。


 3つ目の理由は、「反対倍増で、政府の増税対策が裏目に出そう」ということです。まず、消費税増税については、日本の産業の上から下まで反対の波が広がっています。

あらゆる商売を阻害する、不公平な軽減税率


 たとえば、これまで増税に賛成し、自民党を支えてきた日本自動車工業会。2014年、当時の池史彦元会長(元本田技研工業会長)は、「消費税増税はやるしかない」と発言しており、その路線が続いてきました。しかし、18年に会長に就任したトヨタ自動車の豊田章男社長は、消費税増税が自動車の国内需要を30万台押し下げる懸念があるとして、自動車ユーザーのほかの税負担を軽減しなければ消費税アップは認められないと明言しました。

 日本経済団体連合会(経団連)も、増税には一応賛成してはいますが、スタンスはトヨタ寄り。軽自動車税を起点に引き下げを求めています。トヨタは経団連の副会長に早川茂代表取締役副会長を送り込んでいるので、これは当然の要求かもしれません。

 裾野でも、消費税増税については怨嗟の声が広がっています。特に、増税と同時に実施される「軽減税率」については恨み節が多く聞かれます。

 大手スーパーマーケットなどが加入する日本チェーンストア協会は、レジのシステム改修、商品分類見直しなどの手間とコストが増大するとして、消費税アップに反対しています。また、レストランなどの外食産業が加盟する日本フードサービス協会は、8%の商品が多いスーパーに比べて、外食が10%になるというのは不公平だ、と増税および軽減税率に反対しています。

 店員にパートやアルバイトが多いコンビニエンスストアでは、8%と10%の2種類の税率に個別に対応するのは難しいので8%で統一しなくてはならなくなりそうです。しかし、そうなれば、現状のイートインコーナーは食べたり飲んだりできない単なる休息所にしなくてはならず、集客力が落ちると訴えています。これは、ハンバーガーチェーンなども同じです。

 さらに、怒りをあらわにしているのが、蕎麦屋さんなどの出前をする業態です。店で食べてもらえば消費税は10%なのに、わざわざ人件費をかけて蕎麦を配達すると8%になるので、価格が安くなってしまう。これでは店で食べるよりも安い出前を取ったほうがいいということになり、配達が増えて人件費が上がるので、そのぶん利益は減ってしまうことになります。新聞以外の雑誌、書籍の業界などからも反発が出ていて、日本雑誌協会など4団体は、はっきりと消費税増税反対の姿勢を取っています。

 つまり、商売をしている人のほとんどが、消費税増税だけでなく、複雑で面倒でなんのトクにもならない軽減税率に対して「今までの商売を阻害する不公平なもの」という認識を持っていて、不満を抱いているのです。

 しかも、軽減税率だけでなく、さらに小売りの商売を痛めつけそうなシステムを政府は導入しようとしています。

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