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榎本博明「人と社会の役に立つ心理学」

なぜ悩みが多い人のほうが、悩まない人より幸福な人生を歩めるのか?

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「Getty Images」より

 生き方に悩んでいる人は、なんの悩みもなさそうな人を羨ましく思うかもしれない。悩みがちな人は、どうしてもそんな自分を否定してしまいがちだ。そして、悩みグセのある自分から脱したいと願う。

 だが、ここでちょっと考えてみてほしい。悩みグセのない自分ってどんな感じだろうか。もしその悩みグセを失ったら、あなたの人生の深みまで失われてしまうかもしれないのだ。

悩みとは無縁の人に漂う「薄っぺらさ」

『50歳からのむなしさの心理学』(榎本博明/朝日新書)

 私は心理学者として勤務先の学生だけでなく一般の人たちのカウンセリングも行ってきた。そうした活動を通して感じるのは、何も悩むことのないお気楽な人よりも、生き方に悩む人のほうが、味わい深い人生を歩んでいるのかもしれないということだ。むしろ悩みとは無縁の人のほうに思慮の浅い薄っぺらさを感じることも少なくない。

 多くの人は、悩みを抱えて苦しんでいる人の悩みを取り除くのがカウンセリングの目的だと思っているはずだ。でも、カウンセリングにとって大事なことは、それだけではない。

 もちろん、悩み苦しむ人の心をサポートするのがカウンセリングとして重要であり、本人が悩みを解消したり困難を乗り越えたりするのを手助けすることが大事なのは間違いない。だが、周囲を見回してみると、何も悩むことなどなさそうな人よりも、常に自分の生き方に疑問をもってなんらかの悩みと格闘している人のほうが、どこか人間的な深みがあるといった感じはないだろうか。

 ただし、悩み方の問題もある。悩み上手な人もいれば、悩み下手な人もいる。体調を崩したり、やる気を失い投げやりになったりしてしまうようなのは悪い悩み方といえる。悩みながらも、「このままじゃダメだ」「もっとなんとかしないと」というように、前向きにあがいている姿勢が感じられる場合、そうした悩み方はけっして悪いものではない。そこには自分の生活を向上させようといった強い意志が感じられる。

悩むのも悪くない

 自分の仕事人生に意味が感じられず、むなしさに包まれ、急にやる気が失せてしまったという40代の男性は、その苦しい思いを次のように語った。

「私は、けっこうがんばり屋なほうだと思います。でも、いくらがんばってもうまくいったことがないんです。高校受験でも大学受験でもそうでした。必死に受験勉強をしたのに、結局志望校には合格しませんでした。就活もそうです。要求水準を徐々に下げて、ようやく引っかかったっていう感じです。就職してからも、けっしていい加減にやっているわけではないのに、同期に差をつけられてばかりです。もうがんばるのがバカらしくて……」

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