
今年4月7日に発令された緊急事態宣言後、人々は外出を自粛して「おうち時間」を過ごすようになった。
しかし、この「おうち時間」は、ある事態を招いている。世の多くの男性たちが運動不足に陥り、お腹に着々と脂肪を貯め込んでいるのだ。
年齢を重ねるにつれて、代謝量は落ちていく。何もしなくても太らないという若い時代はとっくに終わり、日々の出社や移動によってかろうじて維持されていた体型は、「ステイホーム」によって肥大化していく。
こうして完成されたのが「お腹タプタプ」おじさんである。スマートでなく、だらしがない。モテない。この状況を抜け出すには、ダイエットしかない。
■ダイエットをロジカルにアプローチ。男性が始めやすい「ゆるヤセ」
しかし、世のダイエット本をパラパラと見ても、億劫になるだけ。今、主流の糖質制限は、ラーメンもカレーもうどんもNG。好物が食べられないのはつらい。筋トレ、継続できているならこんなことにはなっていない。
では、どうすべきか。男性が自分の心をダイエットに向かわせるなら、「男性脳」を上手く使うべきだろう。
ビジネスの現場で活躍する男性が「これなら自分にもダイエットできそうだ」と思わせてくれる本がある。それが一般社団法人日本ヘルスアップダイエット協会代表理事の大上まりあさんが執筆した『ゆるヤセ』(白夜書房刊)だ。
本書の最大の特徴の一つは、ダイエットに対してロジカルにアプローチをしていく点だ。
「こうすればヤセる!」の前に「なぜ人は太り、ヤセるのか」がしっかりと説明されている。これが、男性にとってのダイエットに対するハードルを一気に下げてくれるのだ。つまり、「腑に落ちた」形でダイエットに取り組むことができる。
■食事制限も運動もナシ。ダイエットのカギは代謝量アップ
本書の内容を少しご紹介しよう。まず、「なぜ人は太り、ヤセるのか」という部分。これは端的に言えば、代謝量の問題だ。
人間の代謝には、新陳代謝(細胞の入れ替わり)、基礎代謝(無意識に体が使っているエネルギー)、エネルギー代謝(基礎代謝+意識的な体の活動によって生まれる代謝)があり、新陳代謝も基礎代謝も、加齢によって衰えていく。
若い頃と同じように食事をしていると、カロリーオーバーとなり、脂肪がついていくのは当然のこと。だから、カロリーオーバーを防ぐには、下記の方程式通り、摂取カロリーを減らすか、エネルギー代謝量を高める必要が出てくる。
エネルギー代謝量を高めることによって、消費カロリーが増える。
摂取カロリー(食べる量)よりも消費カロリー(使う量)が大きければヤセる。
(p.40より引用)
ただ、摂取カロリーを減らすのは体にとって大きな負担になる。
そのため、本書では、エネルギー代謝量の中の6割を占める無意識代謝の「基礎代謝」に注目し、ここを上げるメソッドを指南していく。運動も手ではあるが、たくさん動いたわりに意外とカロリーは消費されない。ならば、基礎代謝を動かした方が効率的だという、きわめて合理的なダイエット戦略なのである。
この「ゆるヤセ」のメソッドは3つある。要点をピックアップしていこう。