日本人のDHA不足は命を脅かすレベル、心筋梗塞等のリスク増…魚の缶詰を食べなさい!
DHA、EPA不足は過小評価されている
食生活では、特に魚離れによるDHA、EPA不足が深刻です。DHA、EPAは体内でつくれないため、食べ物から摂取しなければならない必須脂肪酸のオメガ3脂肪酸の一種です。昨今、サプリメントのテレビCMなどで盛んに宣伝されているDHA、EPAですが、その効能と必要性はまだまだ過小評価されています。研究が進むにつれ、摂取不足がアレルギーや生活習慣病など多くの現代病の発症の要因のひとつであるだけでなく、積極的に摂取することで脳梗塞や心筋梗塞など死に直結しやすい病気を予防する効果があるとして、欠かせない栄養素であることも解明されています。
下のグラフは、10年に厚生労働省から発表された数値を基に作成したものですが、すべての世代でDHA、EPAは不足しており、特に49歳以下の世代では、望ましい摂取量の3分の1にも届いていません。
こうした慢性的なDHA、EPA不足状態を指して、ある医師は「心筋梗塞などの心血管系疾患が若年層で爆発的に増える可能性がある」とまで懸念しています。
この予測が、「2025年問題」をより一層深刻なものにしています。加齢による要介護者が増える一方で、それを介護する側に重篤な病人が増えていたのでは、国として成立しません。
こうした想定外の悲劇を生まないためにも、魚離れとDHA、EPA不足の過小評価を見直し、今からでも意識して栄養バランスの取れた食事にプラスするかたちでDHA、EPAを積極的に摂り、健康な体づくりと国を上げての良策づくりで2025年問題に備えるべきです。
DHA、EPAはサバ、サンマ、イワシ、マダイ、ブリ、アジ、イクラ、マグロ(特にトロ)、ウナギなどに多く含まれています。調理が面倒な場合は、サバ、イワシ、サンマの水煮、醤油煮、味噌煮などの缶詰を1缶食べれば、1日の必要量は充分に摂れるので、これらを活用してください。ちなみに、ツナ缶にはDHA、EPAがほとんどありません。
どうしても魚が苦手という人や外食の多い人は、サプリメントで補充するとよいでしょう。また、植物油のアマニ油やえごま油の主成分のアルファ・リノレン酸は、個人差はありますが体内で5~20%がDHA、EPAに変換されるので、日常の油をこれらの油に切り替えることも得策です。ちなみに、前出の医師は厚労省推奨の倍量に当たる1日に2gのDHA、EPA摂取を推奨しています。
DHA、EPA不足の解消は、想定以上の効果をもたらします。DHA、EPAの効能などは、本連載記事『魚を食べないと機能低下の危険!脳梗塞やがん、アレルギーが増加する恐れも』を参考にしてください。
(文=林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家)