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石原結實「医療の常識を疑え!病気にならないための生き方」

WHO、世界的な運動不足の深刻化に警鐘…がん等の病気リスク増大、歩行だけで大きな効果

文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

筋肉(筋肉運動)の生理的効能

(1)産熱を促し、免疫力を高める

 運動や肉体労働をして発汗が始まる頃には、体温が約1℃上昇しており、免疫力が一時的に5~6倍になる。

(2)血流をよくし、心臓機能を助け、血圧を下げる

 筋肉が動くと、筋肉内に走っている毛細血管が収縮、拡張する(milking action=乳しぼり効果)。その結果、心臓の働きを助け、心臓病の予防や改善につながる。また血圧も下がる。

(3)骨の血流がよくなり、骨を強くし、骨粗しょう症の予防や改善に役立つ。

(4)GLUT-4(グルコース・トランスポータ・4)の活性が増加。血糖値が下がる。
筋肉運動で血糖を筋肉細胞内に取り込む「GLUT-4」の活性が増す。

(5)脳の海馬領域の血流が増加し、記憶力が増強。認知症予防になる。

(6)筋肉内からテストステロン(ホルモン)が分泌され、「自信」をつけ、「うつ」の予防、改善につながる

 これまで断片的に明らかにされていたが、最近、コペンハーゲン大学のペデルセン博士が発見した筋肉から分泌されるホルモン「myokine」が全世界の医学者の熱い視線を浴びている。現在は30種の「myokine」の存在が明らかにされているが、その主なものは、

・SPARC…大腸がんを抑制
・IL-6…肥満や糖尿病に効く
・FGF-21…脂肪肝を防ぐ
・アディポネクチン…糖尿病、動脈硬化、ストレスなどを防ぐ
・IGF-1…アルツハイマー病を防ぐ

などである。

 筋肉運動の基本中の基本はウォーキングである。一年でもっともさわやかな季節でもある秋に、ウォーキングやハイキングを大いに楽しまれるとよい。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業後、血液内科を専攻。「白血球の働きと食物・運動の関係」について研究し、同大学大学院博士課程修了。スイスの自然療法病院B・ベンナー・クリニックや、モスクワの断食療法病院でガンをはじめとする種々の病気、自然療法を勉強。コーカサス地方(ジョージア共和国)の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。現在は東京で漢方薬処方をするクリニックを開く傍ら、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。著書はベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)、『「食べない」健康法』(PHP文庫)、『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房)、石原慎太郎氏との共著『老いを生きる自信』(PHP文庫)、『コロナは恐くない 怖いのはあなたの「血の汚れ」だ』など、330冊以上にのぼる。著書は韓国、中国、台湾、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、タイなど世界各国で合計100冊以上翻訳出版されている。1995~2008年まで、日本テレビ系「おもいッきりテレビ」へのレギュラー出演など、テレビ、ラジオ、講演などでも活躍中。先祖は代々、鉄砲伝来で有名な種子島藩の御殿医。

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