風邪を予防するトレーニング方法
では、運動は免疫を低下させて、風邪を引きやすくするのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。前述のような激しい運動を除いて、大半の運動は「風邪を引きにくくする」という研究結果のほうが多いのです。
2009年に米アイオワ大学で行われたマウス実験では、運動用の回転車輪で14週運動させたマウスと、一度だけ45分運動させたマウスと、まったく運動させなかったマウスの3つのグループに、インフルエンザウイルスを投入して、その後の症状やウィルスの量を計測しました。
結果は、14週運動させたマウスがもっともウイルス量が減っていました。意外なのは、一度だけ45分運動させたマウスのグループが、まったく運動しなかったグループより、格段にウィルスに対して抵抗力が強かったことです。
人間に対する同様の研究もあります。米サウスカロライナ大学が547人を対象に行った研究では、「適度な運動習慣がある人」は、そうでない人に比べて風邪を引く率が20%程度低かったと報告されています。
筆者は小さいころには身体が強いほうではなかったので、風邪を引いて、よく学校を休んでいましたが、現在のパーソナルトレーナーの仕事をして、身体を適度に鍛え、運動後に適切なケアすることで、風邪を引かなくなり、仕事を休んだことは一度もありません。
最後に、筆者も筆者のクライアントも実践している「風邪予防トレーニング」のひとつをご紹介いたします。
それは、通勤前のスクワットです。ヒザに不安のある方は、軽く(90度くらいまで)ヒザを曲げる程度で構いません。スクワットは、トレーニングのなかでもっとも多くの関節と筋肉を使うトレーニングですので、体温も上がり、免疫力も上がります。
スクワット10回を2~3セット行ったあと、5分程度少し早歩きするだけで、活力が湧いてきます。このトレーニングによって、「寒くなって身体を動かさない」 → 「体温下がる」 → 「免疫力下がる」という悪循環ループに入るのを防げます。
ぜひ、朝の出社前に、ほんの少しでもいいので試してみてください。風邪を引きにくくなるだけでなく、やる気も湧いて一石二鳥です!
(文=角谷リョウ/Lifree株式会社・取締役、パーソナルトレーナー)