消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
「請求書と納品書はどこにありますか」
「すべてメールでやりとりしているので、パソコンの中にあります」
「それでは、そのメールを見せていただけますか」
「それはちょっと、どうなんでしょう」
「見るだけですから」
「なんという会社ですか?うちは取引先が多くないので、今後のこともありますし」
「株式会社凸凹です」
「わかりました。ただ、私がメールを見せたことは言わないでもらえますか」
「もちろんです、守秘義務がありますから」
そう言って、1時間ほどパソコンを見た職員は、メールをAさんの会社のプリンターで出力して、帰っていきました。
自社の帳簿や取引記録を見られることもなく反面調査が終わり、Aさんはお正月に新品の下着を履いたようなさわやかな気分になったそうです。
しかし、不幸というのは、気づかないうちに、ひっそりと忍び寄ってくるものです。1カ月後、凸凹社から電話がありました。取引記録を税務署に見せたことがバレたのです。あまつさえ、職員は出力したメールを目の前で見せ、Aさんが見せたことを明かしたそうです。
凸凹社はカンカン。Aさんは、自社の社長や部長にも大目玉をくらいました。その後、凸凹社との取引はなくなってしまいました。
しかし、どうやら、凸凹社はAさんの会社名義で外注費の水増しを行っていたようです。他人の名前を悪用して不正を行う、無礼な会社だったのです。取引はなくなってしまいましたが、Aさんはそれで良かったと思っているそうです。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)
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