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岡田正彦「歪められた現代医療のエビデンス:正しい健康法はこれだ!」

「肉食は健康に悪くない」との研究報告、牛肉製品企業から多額資金提供が判明

文=岡田正彦/新潟大学名誉教授
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「Getty Images」より

 2019年末、有名な医学専門誌『米国内科学会誌』に、「肉はいくら食べても健康に害なし」という主旨の研究論文が、まとめて5編も掲載されました【注1】。「肉の食べ過ぎは健康に悪い」というのがこれまでの常識でしたから【注2】、びっくり仰天の出来事でした。

 さっそく、これに噛みついたのが米紙ニューヨークタイムズで、告発文にも似た記事を掲載しています【注3】。一連の論文発表の中心人物であるカナダ・ダルハウジー大学のブラッドレー・C・ジョンストン博士は、3年前にも「砂糖は健康に悪くない」という主旨の論文を発表していて、当時、牛肉や砂糖を使った商品を製造・販売している企業集団から多額の資金を受けていたというのです。

 研究者が学術論文を発表するとき、評価対象となった製品を製造・販売している企業から研究費や旅費、講演料などを受け取っていることが多いものです。当然、寄付をしてくれた企業に対しては忖度が働きますから、論文の結論が歪められている可能性は大いにあります。

 このように「あちら立てれば、こちら立たず」の状態を「利益相反」といいます。もっとはっきりいえば、企業利益を優先し、論文読者の期待を裏切るような状況を指す言葉として使われています。

 傑作なのは、一連の論文の中で著者たちが「利益相反の有無を明らかにする」との理由で、自分たちが毎日どれくらい肉を食べているか記述していたことです【注1】。著者のうち多い人は毎日食べていて、ジョンストン博士は週に1~2回だということでした。

 当の専門誌編集長のもとには2000通を超す批判のメールが寄せられ、一時、メールを閉鎖しなければならないほどの騒ぎになりました。一方、ジョンストン博士のほうは、「高いレベルの科学的根拠に基づいており、また関連企業と金銭のやりとりもない」「学会誌が開示を求めているのは過去3年間の企業との関係であり、最後に寄付を受けたのは2015年なので問題ない」と反論しています。

 論文を掲載した編集長は、「論文を投稿する人の倫理の問題であり、誠意に期待するしかない」「肉食を控えて野菜を多く食べようと主張している研究者にも、利益相反が認められる」と述べています。

「肉の食べ過ぎは健康に悪い」は明白

 通常はありえないことですが、米国の「医療イニシアティブ」という非営利団体は、その学会誌が刊行される直前、編集長あてに掲載取り消しを求める要求書を送っていました。論文の審査に当たった研究者からの密告があったのですが、実はこの団体、ベジタリアン向けの食品を販売している企業と癒着があると報じられています。

 2020年2月3日、さらに新しい論文が発表され、混乱に拍車がかかりました【注4】。3万人近くの食生活を20年ほど追跡したデータで、結論は従来の常識どおり「肉の食べ過ぎはがんや心筋梗塞のもと」というものでした。

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