
『バランワンダーワールド』はスクウェア・エニックスによる完全新作のアクションゲームだ。このゲームをつくったクリエイターは、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の生みの親である中裕司氏。そんなことを聞かされたら、40代以上のおじさんたち(とくにセガマニア)は注目せざるを得ない。『ソニック』シリーズのようなハイスピードなゲームなのか、それとも『NiGHTS into dreams…』のような空をビューンと飛び回るゲームなのか。
遊んでみたらこれまでのどれとも違う、まったくの新機軸なアクションゲームだった。そのあたりを中心に語っていきたい。
ゲーム中は移動と1ボタンだけ
本作の特徴のひとつは、操作ボタンが少ない点だ。左スティック(もしくは方向キー)の移動とボタン1つだけ。ゲーム中の基本操作はこれだけである。
昨今のアクションゲームはボタンをいっぱい使っていろんな動作をするものが多い。ジャンプする、ダッシュする、攻撃する、強力な攻撃をする、防御する……などなどだ。たとえばNintendo SwitchならA、B、X、Yボタン、さらにはLボタンやZLボタンもフル活用する。
ところが本作は移動操作+1ボタン。その1ボタンは……ジャンプ? 攻撃? ダッシュ? じつはその全部なのである。からくりは衣装チェンジだ。何度も「1ボタンだけ」と書いているが、正確にいうとLボタン・Rボタンも使う。これで本作の特徴である衣装のチェンジを行うのだ。

衣装ごとに「ボタンを押すとジャンプ」「ボタンを押すと攻撃」というようにアクションが設定されており、その衣装を切り替えながら(つまりアクションを切り替えながら)ステージをクリアしていくのが本作の楽しさとなっている。その衣装の数、なんと80以上! ジャンプしながら攻撃する、ブーメランのような飛び道具で攻撃する、水の中を移動できる……などなどだ。どれを使ったらいいかわからなくなることはなく、基本的にはそのステージをクリアするのに必要な衣装は、ステージ内に落ちている。

さらに探索して各種アイテムを手に入れようと思うと、別のステージでゲットした衣装(アクション)が必要な場合もある。ここが考えどころであり、ゲームに深みを与えている部分だったりもする。「いろいろな衣装を試しながらステージを探索するの楽しいぞ! ヤッホーイ!」と前向きに楽しめる人もいれば、そこに面倒臭さを感じる人もいるようだ。本作を楽しめるかどうかは、この部分にかかっていると言っていい。

そんな探索はせずにどんどん進めていけばいいじゃん……なんて思うかもしれないが、「バランスタチュー」と呼ばれるアイテムを一定数集めることでステージが開放されていく仕組みになっているので、どうしても探索する必要がある。普通にクリアするだけ(マップ上のゴール地点に到着するだけ)ではバランスタチューが十分に集まらない。そこで、クリアしたステージで見落としがなかったか今一度探索する必要があるのだ。
