なぜ老人は体がこんなに縮む?シニア期の老化速度、30歳時の体づくりが多大な影響!
シニア期は、体の“老化そのもの”がさまざまな病気や要介護の原因になる。これまでの本連載では、この健康パラダイムに対する理解を深めてきた。今回からは、老化そのものに対する理解を深めていきたい。
老化とは、いったいどのような変化なのだろうか。なんとなくわかっているつもりになっている方々が多いのではないだろうか。老化は、身体の形態、生理機能、心理状態など広範に変化をもたらす。そして、それは誰も逃れることのできない普遍的な変化である。
この点が病気とはまったく違う。大病院に行っても「老化科」などないことからもわかるように、医療機関では老化そのものを診療することはない。あくまでも老化の結果、発症した病気や不具合に対応しているにすぎないのである。老化そのものを制御し進行を遅らせることができれば、介護問題をはじめ超高齢社会の社会問題はかなり解消できるはずだ。
さて、シニア期の老化による身体ダメージは、30歳頃の骨格および骨格筋の成熟度レベルの影響を大きく受ける。老若男女にかかわらず、老化に関する正しい情報は早く得ておいたほうがいい。
老化をわかりやすく言い表すと「からだが乾いて、縮み、歪んでしまう変化」となる。英語圏では老化をわかりやすく表現するために「シュリンク」という動詞を当てる。
超元気なシニアの10年間の身長の縮みを比較した縦断データがある。平均年齢70歳(65~74歳)、平均年齢80歳(75~84歳)のそれぞれ10年間の変化をみると、おおよそ70歳からの10年間では男性2センチ、女性3センチ、80歳からの10年間ではそれぞれ2.5センチ、3.5センチ縮む。男性より女性の縮みが大きく、70歳より80歳からの縮みのほうが大きい。
この縮みには歪みの分も含まれる。両腕を真上にあげ、空をつかむように伸ばした際、両腕の上腕は両耳に付くだろうか。付かない方は、老化が縮みの段階から歪みの段階にきていることになる。
体の縮み・歪みの原因
ところで、体が縮み歪むのはなぜなのであろうか。
私たちのからだは、骨格と筋肉で形づくられている。この骨格と筋肉をつくっている栄養素は、たんぱく質である。骨格というとカルシウムを思い浮かべる方々が多いが、骨をつくっている栄養素の半分以上はたんぱく質である。