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私が不思議なのは、池江選手のような一流の女性アスリートが定期的に血液検査を受けていなかったと考えられることだ。貧血は競技成績にダイレクトに影響する。男女を問わず、筋肉量が多いアスリートは貧血になりやすく、生理による出血がある女性はなおさらだ。最近は定期的に血液検査を受けるアスリートも珍しくない。精度は落ちるが、採血をしなくてもヘモグロビンの濃度が測定できる「アストリム」などの非観血的測定装置もある。選手やスタッフがやる気になれば、容易に実施できる。
もし、池江選手がヘモグロビン濃度をチェックしていれば、1月の時点で本当の意味での早期診断ができていた可能性がある。白血病はもっとも進行が速いがんだ。数日の遅れが命取りとなる。逆に数日診断を早めるだけで、出血のリスクを相当減らすことができる。
多くの人が池江選手の一刻も早い競技復帰を願っているが、医学的に一般的な事例と照らし合わせた場合、東京五輪は難しいかもしれない。焦らず完治させて、2024年の五輪を目指してほしい。
一方、スポーツ界は今回のことをきっかけに、女性アスリートの健康問題、特に貧血問題に取り組んでもらいたい。定期的な血液あるいはヘモグロビン検査の導入を検討してはどうだろう。
(文=上昌広/医療ガバナンス研究所理事長)
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