運よく青信号が続いて、目的地まで止まらずに行けた。もらった福引券で特等賞が当たった。あるいは、乗ろうとしていた電車がたまたま遅れていて遅刻してしまった。こんな時、私たちは「運」の良し悪しを感じる。あなたは運についてどんな考えを持っているだろうか? 自分ではコントロールできないものだと思っているだろうか? それとも自分で呼び込むことができるものだと思っているだろうか? そして、あなたは自分を「運がいい」と思っているだろうか。
「運がいい」「運が悪い」は存在するのか
『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』は多くの場合、思い通りにならない「運」の正体に迫り、運を味方に引き寄せる方法を考えていく。
運・不運というのは、だれの身にも公平に起きていて、その運をどう生かすかに少なくとも人は主体的にかかわっていける(P7より)
本書では運はこのように書かれている。自分のことを不運な人間だと思っている人なら「公平なわけがない」と思うかもしれない。しかし、運は目に見えるものだけとは限らない。たまたまいつもと違う道を通ったおかげで交通事故に遭うのを逃れることもあるだろうし、たまたまいつもと違う道を通ったおかげで、いつもの道に落ちていた大金が入った封筒を見つけそびれることもある。「見えない幸運」と「見えない不運」も含めて考えれば、やはり運は誰にでも公平なのである。
脳科学者が語る「運がいい人」の共通点
では、誰にでも公平に与えられる運・不運に分け入って、少しでも多くの幸運をつかむ方法はないのだろうか。その方法は定かではない。しかし、「運がいい人」には共通点がある。
その一つが「今の自分を生かす」という点だ。多くの人は「今の自分を変えないと運気は変わらない」と考えがちだが、運がいい人ほどこれをしない。むしろ「今の自分」を大切にして、生かそうとする。自分の性質を変えようとするのではなく、自分の性質に合った仕事や勉強、交友関係を考え、そこに自分の身を置こうとするのだ。これは言い換えれば「運がいい人は自分を大切に扱う」ということでもある。
今の自分を生かし大切にする、と聞くと漠然としているが、「自分なりの幸せの尺度を持つ」「世間の常識に惑わされない」「自分の好みを大切にする」といったことはいずれも、本来の自分を生かすこと、自分を大切にすることに含まれる。周りに振り回されず、自分のままに生きている人のもとに運は舞いこむ、ということだろう。
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ここで紹介した「運がいい人の共通点」には、いずれも脳科学的な裏付けがあり、それこそが本書の最大の特色になっている。縁遠いと思われがちな「運」と「科学」だが、本書を読むと、案外両者は相いれない存在ではないのではないかと思わされる。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。