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九州大学の10年の調査では、長崎県の高校生で国立大学に進学できる学力の生徒のうち、主に家計の困窮で大学進学を断念した・するかもしれない生徒が3%に上っている。
大学生のアルバイト収入は年間30万円台前半で推移しているが、アルバイトだけでは生活が厳しく、奨学金を受給する大学生の割合は02年度の31.2%から14年度には51.3%に増加している。また、奨学金の金額は02年度の22万6000円から14年度には40万円に増加している。
それでも、高校生の保護者に対する調査で「返済が必要な奨学金は、負担となるので、借りたくない」と回答する者の割合が、どの所得層でも半数以上を占めており、奨学金の返還に対する不安・負担を多くの保護者が感じている。
こうした背景には、大学卒業後の雇用環境が大きく影響している。大学を卒業しても正規雇用を得ることができず、非正規雇用の状態で奨学金を返還する安定的な収入を得ることが困難な者が増加しているという現実が重くのしかかっている。総務省によると、大学院を除く高等教育機関を卒業した者のうち、30代から50代では約3割が年収300万円を下回っている。
奨学金を使って大学を卒業し、奨学金の返済年齢になっても年収が300万円未満という実態がそこにはある。奨学金返済が負担になれば、滞納をするだろうし、家庭を持つこともままならないだろう。こうした格差の実態を政府は目を背けることなく、しっかりと受け止めて対処するべきだろう。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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