消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
それにともない、中国も北朝鮮との話し合いを再開した。つまり、北朝鮮とすれば米中の2大国と韓国抜きで交渉できる体制が整ったことになり、それゆえ“韓国外し”を始めたわけだ。そもそも、朝鮮戦争の休戦協定は、アメリカ主導の国連軍と朝鮮人民軍、中国人民義勇軍によって締結されたもので、休戦に反対していた韓国は署名していない。つまり、韓国は休戦協定に関しては当事国ではなく、韓国抜きで話し合いが進められたとしても不自然ではない。
また、将来的に考えても、金正恩体制にとって韓国の存在はプラスにはならないだろう。南北間の交流が盛んになりヒトやモノの移動が自由化されれば、北朝鮮内に民主化の動きが生まれる可能性が高いからだ。言うまでもなく、それは金正恩体制の崩壊につながる。北朝鮮の最大の目的は現体制の維持であり、そのためにマイナスとなる要素は徹底的に排除する方向だ。そう考えると、北朝鮮としてはクーデターの萌芽となり得る要因は避けたいのが本音だろう。
中国・ZTEへの制裁緩和に米議会が反対
米中の貿易摩擦も、予断を許さない状況だ。ZTEへの制裁緩和について、トランプ大統領が検討を示唆したことで既定路線になるかと思われたが、議会は共和党、民主党ともに反対しているため実現の可能性は低い。
すでに、国防権限法案にはアメリカ政府機関がZTEの製品を使用することを禁止する項目が盛り込まれており、共和党のマック・ソーンベリー下院軍事委員長は「(同項目について)議員らが削除を求めるとは見込んでいない」と発言している。
毎年、アメリカは同法で軍事的な予算や計画を策定しており、そこには経済制裁なども含まれている。同法案の内容を修正するには議会の承認を得なければならず、これは大統領の一存で強行することはできない。上下両院を通過後に大統領が署名しないという手段もあるが、そうなるとすべての軍事的案件がストップしてしまいかねない。そのため、法案の審議過程で同項目を削除する必要があるわけだが、トランプ大統領が議会の強い反対を押しのけてまで実行するメリットがあるとは思えない。
いずれにせよ、米朝首脳会談に向けて、もう一波乱も二波乱もありそうな気配だ。
(文=渡邉哲也/経済評論家)
『ポスト平成ですごいことになる日本経済2.0:2020年までに生じる世界のリスクと新たな秩序』 平成から次の時代へと動き始めた日本。日経平均もバブル崩壊後の高値を更新、デフレ脱却が本格化しつつある。米中ロの冷戦復活、そして東京オリンピック開催は、昭和の高度成長期とそっくりで、歴史が再び繰り返されようとしている。この先、日本と日本経済に何が起こるのか、そして「2018年の世界最大リスク」とされた中国の動向、混乱が続く朝鮮半島の行方、分断が進む欧米の帰結は。気鋭の経済評論家が完全分析!
Business news pick up
RANKING
17:30更新関連記事
2024.10.22 06:00
2024.10.05 06:00
2024.10.04 18:50
2024.10.02 06:00