大手新聞社長、保身のために海外に飛ばした愛人と再燃し同棲生活!?

　「ホテルに入るのはやめるか。バーに行って水割りでも飲んだら、午後11時までに四ツ谷には戻れないかもしれない」

　村尾はホテル玄関の手前で、停まっていたタクシーに乗ろうとした。ドアを叩くと、運転手が後ろの窓を開けた。

　「実車中ですから、タクシー乗り場の車に乗ってください」

　運転手が玄関の先の乗り場を指差した。村尾は客待ちをしている別の車に乗り込んだ。

　「四ツ谷に行ってくれ」

　村尾が行き先を告げると、運転手は黙って車を発進させた。

　「四ツ谷のどの辺ですか」
　「新宿通りを四ツ谷駅のほうに向かってくれ。駅の手前で降りる。行き方は任せるよ」

　運転手は村尾に話しかけることもなく、車を走らせた。開けっ広げな性格の松野と対照的に、村尾は社内で「引き籠り社長」と陰口をたたかれるほど内向きの性格だ。運転手が何も言わなければ、村尾は自分から話しかけるようなことはない。車内は沈黙が支配した。
（文＝大塚将司／作家・経済評論家）

※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。

※次回は、来週2月23日（土）掲載予定です。

【過去の連載】

第18回大手新聞社長の“バレバレ”不倫話を肴に盛り上がる新聞社幹部たちの一夜
第17回バイアグラを部下に買わせ、愛人の指南で合併を決める大手新聞社長の性癖
第16回大手新聞社長、公然と経費で愛人とドンペリに溺れ醜態をさらす
第15回大手新聞社長、海外出張中に部下と愛人契約、経費で豪遊も
第14回大手新聞社長、海外出張に愛人同伴でブランド品買い漁り、ついに怪文書が…